次は分別管理義務です。
分別管理が必要な理由は、信託財産の特定性の確保です。繰り返しますが、信託財産の所有者は受託者です。その受託者は固有財産も所有しています。信託財産の債権者は固有財産を責任財産とすることができました。しかし、固有財産の債権者は信託財産に対して、強制執行等はできなかったわけです。
しかし、固有財産の債権者が、間違って信託財産に強制執行をしてしまう可能性もあるわけです。その場合、受託者又は受益者は「それは信託財産だ」と異議を述べることができますが、信託財産であることを証明しなければなりません。このとき、信託財産が分別管理されていれば証明が容易になります。だから受託者に分別管理義務を課しているということです。
分別管理の方法は、不動産や自動車であれば「登記または登録をする方法」となります。一般の動産は「外形上区別することができる状態で保管する方法」です。債権や金銭は「計算方法を明らかにする方法」となっています。(小出)