『いつか』は突然やってくる

先日、ある方(相談者Aさん)から夫の財産の贈与のご相談をいただきました。

Aさんの夫は最近入院し、命に別状はないものの、かなり衰弱している状態。このまま寝たきりになってしまうのではないか、介護生活になるのではないか、とAさんは突然不安になり、『夫の財産を何とか今のうちに移さなくては!』と思い立ってご相談に来たそうです。

当然のことですが、財産を贈与するにしろ、遺言書を書くにしろ、何らかの別の処分をするにしろ、本人(この場合はAさんの夫)の意思により行われなければ無効です。病気でよく分からないのをいいことに、家族が勝手に財産を処分することはできません。

Aさんに夫の状態を聞いてみると、字は書けないが、現在は意思疎通ができる状態とのことでした。しかし、高齢であることや入院生活で刺激が少ないことなどから、半年、1年経過した場合はAさんの夫の意思能力が衰えて認知症になっている可能性もあるそうです。

『本人の意思能力がなければ財産を処分できない』と聞き、Aさんは益々焦って、『早く対応しなくちゃ。財産はどうするのが1番いいでしょうか』と私に尋ねられましたが、それはAさんやAさんの夫の財産の額や相続人との関係、税務手続や本人の意向などをすべて検討した上で、本人やご家族がよく話し合って決めていただくべきものなので、私が決めるものではない。また、よく検討せずに焦って手続きすると失敗しかねない旨をお伝えしました。

不動産を贈与した場合、名義を変更する登記費用だけではなく、『不動産取得税』や『固定資産税』などの税金が発生しますし、『贈与税』がかかる場合があります。特に『贈与税』は財産の価格によっては多額の税金の支払義務が発生する場合があります。

財産をどう処分するかという問題は、法律面だけではなく、税務面の問題も生じる可能性があるため、本来であれば、法律家だけではなく税理士等にも相談し、遺言や生前贈与、民事信託など様々な方法を検討した上で対応しなければ、後日多額の税金を払うことになったり、親族間でトラブルが発生したりする可能性があります。

自分にとっての最善の対策を見つけるには、時間もかかりますし、様々な対策を検討するだけの理解力と体力も必要です。

元気なうちに、時間をかけて対策すべきものになりますので、『いつかやればいい』と思わずにご相談することをお勧めします。

 

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2018年9月21日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : trust