ご両親が不動産賃貸業を営んでいる方から相談がありました。
ご両親の賃貸物件の管理を手伝っているそうなのですが、ご両親がかなり高齢なので実質的には自分(相談者)がやらないと何も進まない状態なので、信託を使って自分が管理者となり管理していきたい、とのお話でした。
しかし、ご両親に信託の話をしたところ、ご両親としては、自分で管理したい、お子さん(相談者)には任せたくない、と言われてしまいました。
ご両親としても、お子さんと仲違いをしているわけではなく、いずれは賃貸物件を相談者に任せたい、と思っているようなのですが、今はまだ自分は元気なのでその必要がないとのお話でした。
しかし、相談者の話では、実際にはご両親はほとんど管理者としての能力は乏しく、修繕にしても、入退去者の管理にしても、相談者の方が手伝わないと全く処理できず、入居者から苦情が来ているそうです。
相談者の方も、できるなら自分が管理者となってしっかり管理していきたいと思っているのですが、ご両親がそうさせてくれない、と悩んでいらっしゃいました。
このようなケースでは、『民事信託』は使えないので別のアプローチを探っています。
資産をどのように、どのタイミングで承継するかは大変重要な問題なのですが、税金面や法律面などの専門的な問題のほか、家族の思いや誇りなどのデリケートな感情的な問題も含んでいるため、なかなか話がしにくいことが多いと思います。
しかし、そのような問題こそ家族間で話をしておかないと(話ができる環境を作っておかないと)実際に問題が生じたときに解決できなくなってしまいます。
『資産を承継する』ことの難しさを改めて感じております。