報酬(5)

≪前回までの整理≫
「包括受任事案」と「個別受任事案」では、司法書士に依頼できる範囲も、依頼者自身が担わなければならない範囲も大きく異なりるため、司法書士報酬にも差異が生ずる。
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私たちが報酬請求をする際に注意を払っているのは「このお金は何の『対価』か?」という点です。

「150万円の貸金を請求したい」という依頼の場合、司法書士ができるのは「個別受任事案」としての【書類作成】だけでしたね。そうすると報酬の『対価』は基本的に「書類の作成」に限られます。
訴状・準備書面・証拠説明書・証拠申出書など、裁判ではいろんな書類を作成しますが、「この書類作成の『対価』はいくら」「この書類はいくら」・・・という個々の書類作成に対する『対価』の積み上げによって報酬請求することしか認められないことになるわけです(「基本的」と書いたのは、裁判所への提出代行のような事務作業に対する報酬も計上できるからです)。

【書類作成】の『対価』ですから、作成する書類の難易度や分量によって金額が上下するのは当然ですし、この『対価』には【書類作成】の作業そのものだけでなく、【書類作成】をするために不可欠な事情聴取や資料収集のための費用も含まれますが、いずれにしてもこれらは【書類作成】と『対価関係』にあることが求められているわけです。
したがって、報酬請求の根拠となる行為は【書類作成】によって完結していますので、【書類作成】の結果、依頼者が150万円全額回収できたとしても、「全額回収」という依頼者の得た利益に対してさらに報酬請求すること(一般に、これを「成功報酬」とよぶ)はできません。       (中里)

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2018年5月24日 | カテゴリー : 報酬 | 投稿者 : trust