こば紀行#60 大井川鉄道③~接岨峡温泉

このコーナーでは、浜松から日帰りで行けるプチ観光スポットをご紹介しています。

第59回目は大井川鐵道編第3弾、接岨峡温泉

接岨峡温泉駅は集落から一段小高い場所にある。駅を出て、坂道を降りても特に温泉街が広がる訳ではなく、数軒の温泉宿と町営の日帰り温泉施設「接岨峡温泉会館」があるだけだ。源泉の湧出が昭和52年と比較的新しい温泉で、ヌルッとした湯触りが特徴。渓谷と森林に囲まれ、ただただ静寂な環境の中、温泉と自分の世界にどっぷり浸かることができる、まさに秘湯だ。入湯料は500円、タオルは付いてない。

泉会館から40分程北へ歩くと、関の沢展望台がある。関の沢は尾盛駅と閑蔵駅の間にある高さ70メートル以上の大渓谷で、ここに井川線の鉄橋が架かっていてその高さは私鉄日本一だという。列車が鉄橋を渡る時は、観光客用に速度を落として進む。この鉄橋を大井川を挟んで対岸から見ることができる場所が関の沢展望台だ。列車が鉄橋をソロソロと進む姿を捉える絶好のポイントで、私もそのシャッターチャンスを捉えるべくやって来た。

列車が鉄橋を通過する瞬間を見逃すまいと、山道を割と早歩きで進む。しかし、通過時刻を勘違いしていたせいか、展望台で実に2時間余りの時間を過ごすこととなる。周囲には何もない。急いで来たせいで喉も渇いたが、当然自販機などあるはずもない。騒音のない世界、聞こえるのは小鳥のさえずりと風の音、時折山の上から石がコロコロと転がり落ちてくる、その音。がけ崩れで下敷きにされる自分を想像すると、この静けさは恐怖に変わる。

しばらくすると、山間パトロールのおっちゃんがやって来た。地元の人らしい。冬にはつづらができる程冷え込むこと、この先閑蔵駅へと繋がる道があるが、100M先はがけ崩れで歩いて通ることもできないこと、他愛もない地元ネタを色々と披露してくれた。が、期待していたのはドリンクの差入れなのだが、世の中そんなに甘くはなかった。一方的に喋りたいだけ喋っておっちゃんは立ち去ると、今度は1人の撮り鉄がやって来た。そろそろなのだろう。案の定、遠く彼方から列車の車輪の軋む音が聞こえてきた!(つづく)

 

 

 

2018年5月18日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : trust