(前回の話)
前回お話した税の問題に加えて、長男が遺産分割の合意解除に同意しない場合、他の相続人は長男の約束違反(これを「債務不履行」と言います)があることを理由として遺産分割協議を一方的に解除できるのか?という問題もあります。
この問題について最高裁は、債務不履行による解除を認めると、法的安定性が著しく害されることから、債務不履行を理由に遺産分割を解除することはできないと判断しています。
つまり、共同相続人の全員の「合意」による解除でない限り、「一方的」に解除を通告して遺産分割のやり直しを行うことはできないということです。
このように、長男が遺産分割の合意解除に同意しない限り、遺産分割の効力を覆すことはできないという問題があることが分かります。
老親において扶養・介護の問題を抱えている場合、扶養・介護と遺産分割は別問題だと認識し、遺産分割協議とは別個に扶養・介護に要する費用について協議することが大事かと思われます。(小出)