広義のセキュリティトラストは,信託制度を利用して,被担保債権と担保権を切り離して,被担保債権の債権者と異なる者が抵当権を信託財産として,担保権を保有・管理する仕組みをいいます。
セキュリティトラストには,直接設定方式と二段階設定方式があると言われています。
直接方式は,担保権設定者(不動産の所有者)が委託者,受託者が担保権者(抵当権者),被担保債権の債権者が受益者となるものです。
二段階設定方式は,第1段階として,被担保債権の債権者(第1抵当権者)が担保権設定の登記を受け,第2段階として,第1抵当権者が委託者兼受益者,担保権者(第2抵当権者)が受託者となり,当該抵当権を移転するものです。
普段は所有者である委託者が担保の対象となった資産を利用できますが,万が一のことがあった場合には,受託者が担保不動産を競売にかけて換金して,その代金を受益者に支払うというものです。
受益者の被担保債権が譲渡されたとしても,抵当権を抹消して設定するというようなことを要せず,受益者の変更だけでよいということ等のメリットがあるといわれてます。