「叶(かなう)」のブログです。
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「再審の請求」と「再審の開始」
刑事事件において確定した判決を再び審理(再審)するには、再審の請求をする必要があります。再審の請求をするための要件は刑事訴訟法435条に定められています。いくつか規定されていますが、その一つに「原判決の証拠となつた証拠書類又は証拠物が確定判決により偽造又は変造であつたことが証明されたとき。」というものがあります。今回の「袴田事件」はこの要件をもとに、再審の請求を行っているものと思います。法律上、再審の開始を勝ち取ることはとても大きな意味を持っています。
刑事訴訟法448条2項では、「再審開始の決定をしたときは、決定で刑の執行を停止することができる。」と規定されています。
一方、442条は、「再審の請求は、刑の執行を停止する効力を有しない。但し、管轄裁判所に対応する検察庁の検察官は、再審の請求についての裁判があるまで刑の執行を停止することができる。」
つまり、再審の開始を勝ち取れば、死刑執行の停止を確実に認めてもらう道が開けるのです。それに対し、再審の請求では、それがないのです。これは、当事者にとっては大きな違いとなります。
「再審の請求」と「再審の開始」。似ているようで、その重みは全く異なります。(小出)
こば紀行#62 箱根周遊①
このコーナーでは、浜松から日帰りで行けるプチ観光スポットをご紹介しています。
第62回目は箱根周遊①
とある休日、箱根を目指して車を走らせる。前日夜はメイストームと呼ばれる荒天候だったが、朝には雨も止み晴れ間も見えてきた。今回の目的は「箱根フリーパス」(4,000円)を利用してあらゆる乗り物を制覇すること。今回は同行者もいるため、いつになく気合いが入る。計画したコースは次のようなものだ。
車で元箱根まで→そこから海賊船で芦ノ湖遊覧→船で桃源台駅に着いたらそこからロープウェイに乗り換える→大涌谷で黒たまごを食しそのまま早雲山まで上る→早雲山からはケーブルカーにて強羅まで下り→強羅周辺の公園、美術館を巡り→登山鉄道にて湯本まで行き食事、温泉で〆る。我ながら壮大な計画だ、ワクワクする!
が、この計画は初っ端の元箱根でつまづく。乗り換え予定の海賊船が濃霧で運転見合わせなんだとか。こうして見ると、幽霊船のよう
な風格がある。出鼻をくじかれた形だが、そのまま車で桃源台駅へ向かう。霧の芦ノ湖を眺めながら、虚しく船に乗った自分を妄想する。そして、桃源台に着くとそこには次なる試練が待ち受けていた。運休かよ(゚ロ゚)→
これも運命なのか…期待に胸を膨らませ描いていたものが音を立てて崩れていく。どうしよう…途方に暮れるこばやし。
箱根神社に立ち寄った後、計画どおり早雲山駅へ向かう。ただ、ロープウェイではなく車なのだが。早雲山駅付近の駐車場に車を止め、ケーブルカーに乗り換える。さすがにケーブルカーや鉄道は通常どおりの運転だ。この沿線は6月中旬からあじさい列車と呼ばれる程、たくさんのあじさいが咲き誇るという。が、この日咲き誇っていたのは列車のシートのあじさいだ。そうこうしているうちに、ケーブルカーは終点強羅に辿り着く。(つづく)
家族の資産を考える
ご両親が不動産賃貸業を営んでいる方から相談されました。
相談内容としては、以下のようなものでした。
『両親とも不動産が大好きで、不動産屋さんに勧められるとすぐに欲しくなって買ってしまいます。
しかも、現金では買えないので毎回金融機関から借入をして購入しています。
両親は高齢なので、借入返済が終わる前に亡くなる可能性が高く、自分が最終的に借金を引き継ぐことになるのではないかと思いますが、ちゃんと返済できるか不安です。
これ以上、両親が不動産を買うのを止めることはできないでしょうか?』
お話を聞くと、ご両親は認知症などではなく、業者さんに騙されているわけでもなく、自分がその物件を欲しくて、検討した上で購入しているようでした。
そうなると、お子さんが不動産購入を反対することはできますが、購入するのはあくまでもご両親であり、お子さんは当事者ではないので、ご両親が説得により考えを変えない限り、不動産の購入をすることはいくら家族といえども止められません。
その方には、よく家族で話し合ってもらうしかない旨をお話しました。
親の財産はあくまでも親のものですが、こどもの人生にも大きく影響します。
親子でお金の話をすることは難しいかもしれませんが、そういう機会を持つことの重要性を感じました。
報酬(6)
≪前回の整理≫
「個別受任事案」としての【書類作成】業務では、司法書士は成功報酬を請求できない。
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引き続き、司法書士報酬の『対価』は何かを検証します。
前回は「150万円の貸金を請求したい」という依頼でしたが、これが「130万円」なら、「司法書士にお任せで!」つまり「包括受任事案」としての対応が可能でしたね。
「包括受任事案」の報酬請求は、通常は「着手金」と「成功報酬」とに分けられます。
「着手金」は、文字どおり依頼を受けるにあたって最初にいただく報酬です。したがって「着手金」の『対価』は【仕事への着手】ですので、着手した時点で業務は完結します。
ということは、依頼者が途中で依頼を断った場合も原則として返金できませんし、結果的に1円も回収できなかったとしても同様に返金はできません。
では「成功報酬」はどうでしょう?
「成功報酬」の『対価』は【依頼者が得た利益】でした。したがって単純に考えれば、130万円全額回収できたのなら130万円が依頼者の利益ですし、100万円しか回収できなかったのなら100万円です。このため、「成功報酬は回収した金額の〇%」と定めるケースが一般的なわけです。
ただし実際には、一括払いか分割払いか、分割払いだけど不動産を担保に取ることができたなど、付随要素を加味して検討する必要があることも少なくありませんので、これらの付随要素によって若干の調整がなされることもあるでしょう。
「着手金」と「成功報酬」がいくらか? というのは読者の関心ではあるでしょうが、これは事務所によって異なりますから、依頼の際に事前に説明を受けてもらうしかありません。
ちなみに、中里の事務所では次のような報酬規程を設けています(いずれも税別)。付随要素による加算もありますが、ここでは省略します。
なお、「原告事案」とは請求を希望する方からの依頼、「被告事案」は逆に請求された方からの依頼を指します。「被告事案」における経済的利益とは、たとえば100万円の請求を受けたけど、訴訟の結果60万円の支払いで済んだ場合、これを40万円と計算します。 (中里)
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【原告事案】
「着手金」 請求希望額の1割(ただし最低2万円)
「成功報酬」 経済的利益が50万円未満 ・・・ 利益の1割
経済的利益が50万円以上 ・・・ 利益の2割
【被告事案】
「着手金」 請求されている額の1割(ただし最低2万円)
「成功報酬」 経済的利益が50万円未満 ・・・ 利益の5分
経済的利益が50万円以上 ・・・ 利益の1割
支店が変わると信託口口座作成のハードルが・・
ある方が、親族の財産を受託者として預かるため、●●銀行に信託口口座を作成したいということでしたので、資料をお渡しして銀行に出向いてもらったところ、担当者がよくわからないという理由で一旦あきらめて帰ってこられました。
その銀行では、別の複数の支店で作成されている実績があることも伝えてもらったのでが・・。まだまだ、実務的には課題がありますね。
(ななみ)
型にはまる
若い頃は「型にはまる」ということを否定的にとらえていました。
年齢を重ねるごとに,型はとてもありがたいと思うようになりました。
思えば,ソフトボールの型,陸上競技の型,勉強の型,司法書士の型いろいろなことを学んできたような気がします。
当時は意識はしていませんでしたが,私が取り組んできたものにはすべて「型」があり,それにはまるように学習していたような気がします。
この年になって「型にはまる」ということは本当はできないのではないかと思います。
「型にはまる」過程の中で,必ず派生するものがでてくる。完全に型にはまることはできないと思います。
派生するものこそが「個性」であり,本当の意味での「個性」とは,「型にはまる」過程を経なければ生まれないのではないか,と思います。
文責:本木敦
なかなか大変です。
明日から関東地方は梅雨入りとのニュースがあったとかなかったとか・・・。
梅雨が明ければ、本格的な「夏」。
私は、これからの季節をとても苦手としてます。
気温が高くなるにつれ、思考力や理解力が低下するからです(もともと、そんなに高くはないですが・・・)。
そんな折、わけあって新しい法律を2つほど勉強しています。
景品表示法と労働法です。
この2つの法律に共通する点はなく、非常に苦労しています。
しかも、景品表示法は通達も目を通さないと景品表示法そのものを使いこなせないため、「Wの悲劇」となってます。
そんなこんなで、本日は個人的な愚痴でした。(小出)
こば紀行#61 大井川鉄道④~閑蔵駅
このコーナーでは、浜松から日帰りで行けるプチ観光スポットをご紹介しています。
第60回目は大井川鐵道編第4弾、関の沢展望台~閑蔵
静寂な世界から一変、列車が車輪を軋ませやって来る。鉄橋に差し掛かる、待ち望んだ瞬間、写真では全く伝わらないが、確かに素晴らしい光景だ!一方、列車の中から鉄橋の下を眺めるとその高さがよく分かる。車内では、高さ日本一の関の沢鉄橋と、対岸にあるこの展望台についての説明アナウンスが流れる。列車の中からと外から、両サイドの光景を合わせて見ることができたなら、それはもう立派な井川線マニアだ。
それなりに満足したので次なる目的地、閑蔵駅へと向かう。展望台から来た道を戻り接岨峡温泉から列車に乗るか、このまま歩いて行くか…そういえば、山間パトロールのおっちゃんが言っていた、この先100Mはがけ崩れで行き止まりだと。「絶対に行けないと思わないが、行けるとは言えない。」もの凄く気になる。行ってみたら?まるで自分が試されてるように聞こえた。よし、行ってやろうじゃねーか!足を前に進める。そして…
←絶対無理だろ!!
敗北感に打ちひしがれながら、泣く泣く来た道を戻る。途中、軽自動車に乗ったおっちゃんとすれ違い、この先どこまで行けるか聞かれた。「少なくとも展望台までは行けるよ!その先は自分の目で確かめてくれ」そう教えてあげた。30分掛けて温泉会館付近まで戻ってきたが、次の電車まで1時間以上待つので、回り道でも閑蔵駅まで歩くこととした。さっきすれ違ったおっちゃんが「ありがとな~」と言いながら僕を追い抜いて行く…(乗せてってくれ)トンネルを抜けると接岨峡大橋という大きなアーチ橋が現れる。手前が川根本町、渡った先が静岡市で目的地の閑蔵駅はこの橋の先、静岡市側すぐのところにある。
ここも近隣の民家がほとんど無いことから秘境駅とされている。ただ、バス停もあるため観光客はそれなりに訪れる。駅近くに「やまじゅう」という食事処があり、さっき追い抜いていったおっちゃんが蕎麦を食っていた。つられて私も頼んでしまう。のどかな山間の風景の中、外で食べる蕎麦は最高だ。小鳥のさえずり、蕎麦をすする音…が、ここでは店のおばちゃんのマシンガントークが凄い。まともに話を聞いていたら列車を1本乗り損ねてしまった。まあいいか…このゆったりとした時間は、どこか気持ちを穏やかにさせる。そして、次の列車がやって
来た。(つづく)
資産承継の難しさ
ご両親が不動産賃貸業を営んでいる方から相談がありました。
ご両親の賃貸物件の管理を手伝っているそうなのですが、ご両親がかなり高齢なので実質的には自分(相談者)がやらないと何も進まない状態なので、信託を使って自分が管理者となり管理していきたい、とのお話でした。
しかし、ご両親に信託の話をしたところ、ご両親としては、自分で管理したい、お子さん(相談者)には任せたくない、と言われてしまいました。
ご両親としても、お子さんと仲違いをしているわけではなく、いずれは賃貸物件を相談者に任せたい、と思っているようなのですが、今はまだ自分は元気なのでその必要がないとのお話でした。
しかし、相談者の話では、実際にはご両親はほとんど管理者としての能力は乏しく、修繕にしても、入退去者の管理にしても、相談者の方が手伝わないと全く処理できず、入居者から苦情が来ているそうです。
相談者の方も、できるなら自分が管理者となってしっかり管理していきたいと思っているのですが、ご両親がそうさせてくれない、と悩んでいらっしゃいました。
このようなケースでは、『民事信託』は使えないので別のアプローチを探っています。
資産をどのように、どのタイミングで承継するかは大変重要な問題なのですが、税金面や法律面などの専門的な問題のほか、家族の思いや誇りなどのデリケートな感情的な問題も含んでいるため、なかなか話がしにくいことが多いと思います。
しかし、そのような問題こそ家族間で話をしておかないと(話ができる環境を作っておかないと)実際に問題が生じたときに解決できなくなってしまいます。
『資産を承継する』ことの難しさを改めて感じております。
報酬(5)
≪前回までの整理≫
「包括受任事案」と「個別受任事案」では、司法書士に依頼できる範囲も、依頼者自身が担わなければならない範囲も大きく異なりるため、司法書士報酬にも差異が生ずる。
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私たちが報酬請求をする際に注意を払っているのは「このお金は何の『対価』か?」という点です。
「150万円の貸金を請求したい」という依頼の場合、司法書士ができるのは「個別受任事案」としての【書類作成】だけでしたね。そうすると報酬の『対価』は基本的に「書類の作成」に限られます。
訴状・準備書面・証拠説明書・証拠申出書など、裁判ではいろんな書類を作成しますが、「この書類作成の『対価』はいくら」「この書類はいくら」・・・という個々の書類作成に対する『対価』の積み上げによって報酬請求することしか認められないことになるわけです(「基本的」と書いたのは、裁判所への提出代行のような事務作業に対する報酬も計上できるからです)。
【書類作成】の『対価』ですから、作成する書類の難易度や分量によって金額が上下するのは当然ですし、この『対価』には【書類作成】の作業そのものだけでなく、【書類作成】をするために不可欠な事情聴取や資料収集のための費用も含まれますが、いずれにしてもこれらは【書類作成】と『対価関係』にあることが求められているわけです。
したがって、報酬請求の根拠となる行為は【書類作成】によって完結していますので、【書類作成】の結果、依頼者が150万円全額回収できたとしても、「全額回収」という依頼者の得た利益に対してさらに報酬請求すること(一般に、これを「成功報酬」とよぶ)はできません。 (中里)