影響を受けた名言(1)

「たとえば軍艦というものはいちど遠洋航海に出て帰ってくると、船底にかきがらがいっぱいくっついて船あしがうんとおちる。人間も同じで、経験は必要じゃが、経験によって増える智恵とおなじ分量だけのかきがらが頭につく。智恵だけ採ってかきがらを捨てるということは人間にとって大切なことじゃが、老人になればなるほどこれができぬ」-坂の上の雲(司馬遼太郎)第2巻子規庵より-

「坂の上の雲」を初めて読んだのは20歳くらいのときだが、そのときに、この言葉に触れて本当の意味ももわからず、感銘を受けたことを記憶している。私は、ときどき、「坂の上の雲」を読み返してはこういった示唆に富んだ言葉を拾い出している。

20歳と今で若干感じ方は異なるが、この言葉にはいつも現状に甘んじてはいけない、固定観念にとわられてはいけない、という強いメッセージを受け取っている。私は、時に経験の奴隷になってしまうことがある。経験は必要だが、経験があれば全てハッピーというものではない。経験から一般化、抽象化することで自分の智恵にする。その他は遠慮無く捨てる。しかし、これが難しい。しかし、難しいと言って立ち止まっていることもできない。最近、私は「初稿」をつくることの大事さを痛感している。まずは何か形にする、そのうえで変形する。立ち止まることなく絶えず動いていることで、智恵にする技術もついてくるのではなかろうか(本木敦)。

2019年4月18日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : trust

認知症

先日、話した認知症の症状である中核症状についてもう少し深く(といってもそれほど深くはないですが)話してみたいと思います。

中核症状の一つに、記憶障害というものがあります。これは、本人や家族が最初に気が付く認知症の症状です。認知症の記憶障害の特徴は、「生年月日(=過去)は覚えているが、自分の年齢(=最近)は答えられない」、「自分が生まれた場所は覚えているのに(=過去)、最近引っ越した現住所(=最近)は答えられない」というように、過去の古い記憶は保たれていますが、最近の記憶が障害されていることであり、その結果、新しいことを覚えるのが苦手になります。

また、同じ記憶でも、自分が実際に経験した出来事に関する記憶(エピソード記憶)や単語や概念などの一般知識に関する記憶(意味記憶)に比べて、楽器演奏など技能や操作に関する記憶(手続き記憶)は比較的保たれていることが多いそうです。(小出)

2019年4月17日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : trust

こば紀行#90 芦ノ湖畔

このコーナーでは、浜松から日帰りで行けるプチ観光スポットをご紹介しています。

第90回目は芦ノ湖畔

3月下旬のとある日曜日、芦ノ湖畔の割と中心、箱根関所跡を少し北に行ったあたりにある、ベーカリー&テーブルというパン屋に入った。10時の開店を待たずして長蛇の列ができている。1階で焼き立てのパンを買い、2階のカフェでドリンクをオーダーし、1階で買ったパンを持ち込み朝食をとる。うまい、うますぎる。ただ、買いすぎた。

目の前には芦ノ湖ののどかな光景が広がる。前日の夜に季節外れの雪が降り、思わぬ雪景色に巡り合うことができた。何度となく来ている中で、雪化粧を施した箱根は初めてだ。澄み切った空と薄っすら残る雪、そこに広がる湖畔の風景を見ながら穏やかに始まる休日、平和だ、平和すぎる。だが、早起きしすぎた、眠い。

もう春とは言え、雪が降るような場所だ。昼前とはいえ空気は冷たい。そんな中、屋外のカウンターテーブルがなぜか満席になっている。開店と同時に競い合うようにその席目掛けて走り出す人達がいて、その行動は理解に苦しんだが、よくよく見ると足湯になっている。なるほど。

ただただ、贅沢な休日の過ごし方だったと思う。(こばやし)

2019年4月15日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : trust

遺言、信託時の注意点

遺言や信託のメリットとして、『自分が財産を遺したい人に遺すことができる』『自分が信頼し管理を任せたい人に財産を託すことができる、信託財産から生じた利益を渡したい人に渡すことができる』という点があります。

このようなメリットがあることから、「自分と血縁関係がある人に財産を承継したいので、遺言(信託)を検討したい」というご相談を頂くことがあります。

よくご相談いただく事例としては、『子に不動産を相続させたいが、子の死亡後、子の配偶者ではなく子の子(相談者からすると孫)は相続させたい』『子に不動産を相続させたいが、子と子の配偶者との間に子供がいない場合、子の死亡後に子の配偶者やその親族に不動産が渡るのを防ぎたい』というようなものです。

このようなご相談に対応するやり方がないわけではないのですが、このような「血縁者重視」の姿勢を鮮明にすると、経験から見て、家族間で深刻な軋轢が生じる場合が多いです。

血縁を重んじるという価値観も理解できますし、誰に財産を残すかは全く所有者の自由です。

しかし、排除された側からすると、遺言者側が思うより非常にショックが大きく、信頼関係が破綻し、場合によっては絶縁状態となることもあります。

遺言者が「不動産は長男に相続させる。この不動産は〇〇家の血を継ぐ者に相続してほしい」と遺言書に書いたことを長男の妻が知り、長男の夫婦関係が悪くなることも考えられますし、同様のケースで、長男が妻をないがしろにするような遺言書の内容に怒り、遺産を拒否する場合もありえます。

遺言や家族信託をする際には、財産を渡さない家族についてどこまで配慮できるか、気持ちを理解してもらえるように説明に努めているかが非常に大切だと思います。

血縁を重んじることを否定する気は一切ありませんが、「他人」「子どもがいない」等の理由で露骨に区別することはできる限り避けた方がよいと思います。

2019年4月12日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : trust

遺言や相続の手続きが変わります(12)~相続登記、今まで以上にお早めに?

これまでも司法書士会では「相続登記はお早めに!」と広報活動を繰り返してきました。長期間にわたり相続登記を放置すると、権利関係が複雑化したり、災害時の普及対策や円滑な公共事業に支障が生じたりするなど、「お早めに!」とお勧めする理由もたくさんありました。

ところで、今回の改正では「お早めに!」がより深刻な問題となります。
次のような設問を例に、改正前後の違いを検討してみましょう。

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【事例】
A(父)が死亡し、相続人はX(私)とY(弟)の子供二人のケース。X・Y間で遺産分割協議をし、Aの遺産である甲土地はXが相続することとなったが、相続登記を終えていない状態。

ところで、Yには借金がありました。Yに金を貸しているNファイナンスは、甲土地の相続登記が完了していないことに注目し、XやYの代わりにAからXY名義への相続登記を申請したうえで、Yの持分を差し押さえてしまいました。

先行する遺産分割協議で、甲土地はXが相続することとなっていますので、Nファイナンスによる相続登記は無効は?
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Nファイナンスによるこのような登記申請を「代位登記」といいます。Nファイナンスのように、相続人の一人に対し債権を持っている者は、代位登記の手法によって相続人に代わって相続登記を申請することができるのです。なお、この場合の相続登記は、法定相続分割合のとおりとなりますので、このケースでは、X・Yともに2分の1となります。

本来ならX単独所有となるべきはずなのに、Nファイナンスによる代位登記によってX・Y共有名義となり、さらにYの持分が差し押さえられて競売にかけられることになってしまっては、Xとしても文句を言いたいところですよね。

皆さんは、この結末がどうなるかわかりますか?
実は、法改正の前後によって答えが変わります。
次回、詳しく解説いたしますので、あれこれと頭をひねってみてください!  (中里)

相談(確認)があるということはいいこと。

民事信託の利用のお手伝いをしていると、時々、受託者になられた方から、受託者としての事務処理についてご相談があります。

相談と言っても、受託者の仕事をしっかりと理解されている前提で、確認の意味での相談ですので、適切に運用されていることが確認でき、私としては安心してお答えができます。

また、収益物件がある信託の場合には、ほとんどの場合、税理士さんがサポートされていますので、定期的に専門家の関わりがあるという意味では、チェック機能が働いているとも言えます。

信託財産が組成される場合には、できるだけ信託監督人等が選任されていることが望ましいと私は思います。

民事信託が活用されるようになってまだ歴史が浅いので、大きな不具合は起きていないとは思いますが、本当は、どの信託にも信託監督人が選任される方がより適正な運用が担保されるのかもしれませんね。(名波)

2019年4月10日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : trust

相続登記について(15・完)

これまで登記原因証明情報としての遺産分割協議書の確認について検討してきましたが,遺産分割協議の確認の前提としての相続人の確定についても、遺産分割の内容・相続人の本人確認・意思確認と同程度の司法書士の確認事項といえるのではないかという課題があります。相続人の確定は除籍謄本や戸籍謄本で証明できる事実ではありますが,遺産分割協議の内容を確認するにはその前提として他に相続人がいないことの確認、つまり相続人を確定することが不可欠といえます。

司法書士は遺産分割協議という実体関係の確認を行うと同時に,相続人の確定についても遺産分割の内容・相続人の本人確認・意思確認と同程度の確認をするべきではないかと考えます。

このようにして,遺産分割の内容,相続人の本人確認・意思確認を行って遺産分割協議書の真実性を確保していくべきではないかと考えています(本木敦)

2019年4月9日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : trust

認知症

司法書士には、成年後見専門団体リーガルサポートというものがあり、私も入会しております。先日、リーガルサポート主催の研修があり受講してきましたが、研修内容の一部に、現在、私が連載している「認知症」が取り上げられました。法律職とはいえ、この病気に対する理解は必要不可欠であることをあらためて認識しました。今回も、認知症について話してまいります。

認知症の症状は、中核症状と呼ばれる認知機能障害と中核症状によって引き起こされる周辺症状と呼ばれる非認知機能障害とに大別されるようです。

中核症状とは、認知症そのものの症状であり、全ての認知症の人に起こる症状です。記憶の障害、見当識の障害、判断力・理解力の障害などがあります。

これに対して、周辺症状とは、幻覚・妄想、性格変化などの精神症状と、徘徊、過食、拒食、失禁などの問題行動に分けられます。これらは、人によって差があり、周囲の環境と関連していることもあるようです。(小出)

2019年4月8日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : trust

こば紀行#89 はとバス

このコーナーでは、浜松から日帰りで行けるプチ観光スポットをご紹介しています。

第89回目ははとバス

はとバスというと東京都内のベタな観光スポットををぐるぐる廻るイメージだが、神奈川や山梨、千葉、埼玉等の関東近郊を日帰りで行くツアーや、東北、北陸までの宿泊ツアーまである。バスが黄色いという特徴以外はどうも普通のバス会社のバスツアーのようだ。今回は東京池袋を起点とした、茨木、石切山脈を巡るツアーに参加した。

ツアー名は「茨城ソウルフードつまみ食いと石切山脈」文字通り茨城の名産を食べまくるツアーらしい。ガイドのお姉さまもこのツアーにふさわしく、これまでの人生さぞ食い倒れてきてしまったのだろうと思われる見事なドラえもん型の人で、人選が素敵!としか言いようがない。彼女の食い倒れ武勇伝を聞きながらツアーは始まる。

最初に訪れたのはおかめ納豆で有名なタカノフーズの工場見学。納豆が出来上がるまでの工程を、同社広報課と思われるおっちゃんから説明を受け見学する。そして、最後に試食..なんだが中学生の遠足みたいだ。続いて大洗町魚市場のカキ小屋で昼食、カキ・ハマグリ・ホタテのガンガン焼きを食す。お土産に大洗名物みつ団子が付いてくるのでそれなりに満足度は高い。

昼食後、大荒磯前神社を参拝、そののちに石切山脈を訪れる。この石切山脈で採取される稲田石と呼ばれる花崗岩は、東京駅や日本橋、東京証券取引所等の石材に使用されているらしい。いずれの地でも当地のガイドによる説明があるため、普段のこば紀行よりもお利口になった気になれる。この後もバス車内で「笠間名物いなり寿司」やサツマイモのおやつが付いてくる。行く先々で提供されるお土産達に背後にあるスポンサーの影を感じつつも、概ね満足できる。が、もう食えん…

帰りの車内でもドラ姉さんの武勇伝は続く。はとバスでは宿泊プランで仙台牛タンツアーがあるらしく、彼女自身、客として自らこのツアーに参加したらしい。自身の食い倒れ体験も交えての宣伝なので大変な熱量だし、確かにそそる。普段の自由気ままなこば紀行に比べ、ツアーなのでそれなりに制約もあるし商業的な意図を感じる場面もあるが、次の行先を考えなくても良い楽さと抜群の安定感はある。たまにはこんなこば紀行もありかなと思う。(こばやし)

 

 

2019年4月6日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : trust

職名とは

最近、女性の社会進出が進んだことにより、結婚後も旧姓で仕事をすることが認める職場が増えてきています。

弁護士、司法書士などの士業も旧姓(司法書士会では「職名」と呼称しています)で活動することが認められておりますし、裁判所や市役所などの公務員も旧姓(職名)で職務を行うことが認められております。

私は職名を使用して活動しているのですが、業務上、様々な場面で職名を使用していることによる業務への支障を感じます。

例えば、司法書士の鈴木花子さんが結婚し、田中花子になった場合。「鈴木花子」として司法書士業務を行うことはできますが、「鈴木花子」名義の銀行預金口座を作成することはできません。預貯金は本名でなければ作成できないからです。そうすると、司法書士鈴木花子として活動しているのに、報酬は「田中花子」名義の口座に振り込んでもらうことになります。

また、司法書士が成年後見人に選任されるケースがありますが、成年後見人は本名で登録されます。なので、司法書士鈴木花子がどなたかの成年後見人になった場合、成年後見人の住所氏名は『住所 (司法書士事務所の住所)、氏名 田中花子』と登録されます。『司法書士田中花子』がいると思って事務所に電話すると『鈴木花子』が出ます。旧姓使用を説明すれば理解してもらえることが多いですが、結局旧姓と本名の両方を先方に伝える必要があります。

 

最近では、本人確認の手続きが厳格になり、金融機関等で本人確認書類の提出が要求されます。司法書士は他人の財産管理も行うため、仕事上やり取りをする機会が多いのですが、職名使用者は本人確認で必ず手間取ります。

「司法書士鈴木花子」は、運転免許証、個人番号カードなどのような一般的に定められている本人確認書類はありません。すべて田中花子になっています。鈴木花子と田中花子が同一人物かどうか、どうやって証明すべきか、画一的な処理はありません。戸籍を持って来い、と言われることもあります。

いつも窓口で待たされ、あの書類はあるか、この書類はあるかと聞かれて、ありとあらゆる書類の提出を要求されます。そして窓口の人が困り果てて本部の人に確認し、本部の人もよく分からず、何となく『これだけ提出すれば手続きを受け付けてもいいでしょう』となり、やっと手続きが進む、ということがよくあります。

手続を受ける立場からすると、そもそも本名が違う人が窓口に来ることが想定されておらず、マニュアルにない対応を迫られ、かつ法令遵守しなければならないので、法律違反にならないように本人確認するにはどうすればよいか、四苦八苦されたことと思います。自分のことをきっと非常に迷惑に思っていることでしょう。

これらの原因は、職名というのは正式な名前でなく、その職場内で使用が認められているだけの名前です。何ら法律的な根拠もありませんし、立法段階で職名を使用している人なんて考慮されません。

『婚姻後の名前で仕事すればすべて解決するでしょ』

と言われればその通りですが、それってどうなんでしょうか。

選択的夫婦別姓制度の合憲性が争われ違憲ではないとされた際、「最近は旧姓使用も進んでいるので、別姓が選択できなくても不都合は少ない」というようなことが言われたようですが、何て浅い意見なのかと思いました。

 

かなり愚痴っぽいブログになりましたことをお詫びします。

2019年4月2日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : trust