このコーナーでは、浜松から日帰りで行けるプチ観光スポットをご紹介しています。
第97回目は甲州縦断
今回は青春18きっぷの残りを無理やり消化する旅。期限は9/10までなのでこの週末で使い切るしかない。金曜の昼に仕事を切り上げ、最寄り駅から鈍行列車に乗り込む。初日の目的地は山梨県下部温泉。浜松から列車でおよそ4時間の道のりだ。道中、どんなに尻が痛くなろうとも特急に乗り換えることは許されないし、かつ話し相手も誰もいない過酷な旅である。
信玄公の隠し湯として知られる下部温泉は、JR身延線沿線のひっそりとした山里のなかにある。温泉街と呼べるほど土産物屋や施設が林立する訳でもなく駅も無人だが、個人的にはこのひっそり感が逆に好きである。夏の終わりの夕暮れに、ヒグラシの鳴き声を聞きながら沈みゆく夕暮れをぼんやり眺めでいると、気づけば宿に着く。この温泉の湯はかなりぬるめ(30度くらい)だが、夏の夕暮れ時だとかえって心地よく、いつまでも浸かっていられる。このひっそりとした秘湯でこばやしはひっそり湯に浸かり、ひっそり過ごす。
翌朝、下部温泉をあとにしたこばやしは身延線でさらに北上、甲府で中央本線に乗り換え小淵沢という駅でJR小海線を待つ。小海線はこの山梨県の小淵沢駅から長野県小諸駅まで全長78.9㎞の路線で、別称「八ヶ岳高原線」ともいう。八ヶ岳東麓を走り、山梨と長野の県境にあたる清里-野辺山間には標高1375mのJR鉄道最高地点がある。小淵沢から清里あたりまでの車窓はほぼ森林の中で、その中に時折別荘地が現れる。森林を抜けるとそこはスーパー観光地清里で、その先がJR最高地点及び目的地でもある野辺山である。ここでとびきりうまいソフトクリームを食う!目的地が高所であることに比べ、こばやしの野望は著しく低い。(つづく)