8月 3件

8月は信託関連の相談を3件お受けしました。

1件は高齢者夫婦が居住する住宅を信託財産とする事案。
長男が受託者となり、いずれ施設入所を検討している両親にとって住宅が不要となった際には、売却して施設費に充てようというもので、わりとよくある事案です。

2件目の委託者は90歳を超え、なお現役でアパート管理をされているお母さん。
とても元気だし受け答えも何の問題もなく、年齢を聞いてとても驚きました。
アパートも修繕か売却かを迫られる時期を迎え、修繕にせよ、入居者に退去を求めるにせよ、多額の費用や入居者との交渉が必要になるため、賃料収入をお母さんの生活費として管理していく一方、これらの作業を同居する長男に任せようという趣旨の信託です。

3件目はちょっと変わった事案。
現在、プランの提案をし、家族内で検討してもらっています。
未成年者の息子が自損事故を起こし(免許を取って数週間目の事故。瀕死の状態だったところ1年間の入院を経て奇跡的に社会復帰するまでに至ったとのこと)、車両保険の保険金数千万円が、親権者である父の銀行口座に振り込まれたというもの。
振込先は父親の口座ですが、未成年者自身の財産であることに変わりはありません。多額の保険金の存在は、まだ息子は知りません。社会復帰したばかりでこつこつ働き始めた息子が遊びほうけてしまうことを心配する親御さんからの相談でした。
この事案は、委託者を未成年者の息子の法定代理人である共同親権者、受託者を近所に住む年の離れた姉とし、姉が定額自動送金によって生活費の補てんをする一方、大きな支出が必要な場合には信託監督人(当職が就任予定)と協議の上で手当てしていくことを想定しています。
なお、未成年者の息子の婚姻を信託終了事由とすることも検討しています。また、受益者の意向だけで信託が終了できないよう、信託監督人の同意を要するオプションをかませる予定です。
成人したタイミングで、資産の存在を明らかにし、このような経緯で信託契約を締結して管理しているのだということを本人に説明する機会も必要となるでしょう。

1件目の事案は不動産業者の紹介。2件目は県司法書士会が運営する常設相談から回付された事案。3件目は会計事務所からの紹介です。
信託が少しずつ社会に広まっていることを実感した夏でした!  (中里)