他の相続人へのアプローチ

父子家庭で,一人っ子だと思っていたが,父が亡くなり戸籍を調べてみたところ,どうも妹がいることが分かった。父からは離婚したことまで聞いていたが,父と離婚した母との間に私のほかに子供がいることは聞いていなかった・・・。

父はそんなに遺産を遺すことなく逝ったが,それでも相続に伴い手続が必要となる。その妹とやらの印鑑も必要になるという。

そんな相談を受けた。こんなとき,妹に対してどんなアプローチをするべきなのだろうか。このような相談をよく受けるが,毎回,どのようなアプローチをするべきか迷う。かつて受けた事件で全く同じアプローチになった事件はない。事案毎に異なるのだ。理由の一つには妹がどういう性格なのか全く分からないことが挙げられる。ボクシングでいうアプローチが長いのか短いのか,その辺りの見極めをする判断材料が全くない状態で,相手の懐に飛び込んでいかなくてはならない。

手続を進めたい側(相談者)としては,妹にいきなり押印の書類を送りつけて,これに印鑑をついて返送して欲しい,となる。しかし,これは初めて接触する方に対して,些か乱暴に思う。やはり,第1発目の連絡としては,訃報の連絡から始まり,相続について考えを聞きたいと尋ねるのが筋ではないだろうか。

急がば回れである。妹との信頼関係を壊してしまうと,調停をおこしたりすることとなり,やっかいである。一つ一つ順番に連絡をしていくべきではないか。

そんな風に考えている(本木敦)。