先日、不動産の名義変更をした方から相続についてご相談がありました。
相談者(Aさん)にはお子さんが2名いるのですが、そのうち1名のお子さん(Bさん)が多額の借金を背負い返済できなくなったため、Aさんが肩代わりをしたそうです。その際、家族会議を行い、「借金を肩代わりする代わりに、Aさんが死亡してもBさんはAの遺産を相続しない」ことを全員で確認したそうです。しかし、あくまでも口約束であるので、Aさんが死亡した際に本当にBさんが遺産をもらわないで納得するのか、その時になったらBさんは遺産を要求し、他の相続人と揉めるのではないかと不安があることでした。
この場合、いくらAさんの生前に「借金を肩代わりする代わりに、Aさんが死亡してもBさんはAの遺産を相続しない」と合意したといっても、実際にAさんが亡くなれば、Bさんを含めた相続人全員で遺産について話し合いを行う必要があります。その時、Bさんが、すんなり「自分は遺産を相続しないこと」に納得して手続きに協力してくれれば問題ありませんが、もしBさんが協力しない(遺産を要求した)場合、事態はかなり厄介なことになります。解決するのに要する費用も時間もかかりますし、場合によっては弁護士を立てて訴訟等で解決するしかない場合もあります。
そういった事態を防ぐべく、Aさんには遺言書を遺すように提案をいたしました。遺言書には、誰に遺産を相続させるのを明記し、付言事項として「Bさんには借金返済のため〇〇万円貸与したが返済を受けていないので、Bには遺産を相続させないものとした」と記載しておくことにようにします。これにより、後日紛争になった場合も事実関係を把握するための手掛かりとなりますし、紛争を事前に予防することにも繋がります。
Aさんは「身内の借金の話なので恥ずかしくてなかなか相談できなかった」と仰っていましたが、こういった状況は紛争の素になります。お早目の対処が紛争を未然に防ぐことに繋がりますのでお気軽にお問い合わせください。