成年後見制度が利用できない・・・

 成年後見制度は、高齢による認知機能の低下や障害によりご自身の財産を適切に管理できないような方を対象とする制度ですが、先日ご相談を受けた事案は「頭がとてもしっかりした高齢者」。認知機能の低下はまったくありませんが足が悪く外出が困難。配偶者にも先立たれたため近く施設入所するそうです。近くに住む娘が金銭管理をする予定なのですが「名義が父親のままでは金融機関との間であれこれと面倒なことになりそう・・・」とのこと。

 こんなケース、よくあるのではないでしょうか?
 成年後見制度を利用するとなると、任意後見契約を利用するか、あるいはどうにかして「補助相当」の診断をもらって補助申立てをするか・・・  後者はちょっと強引ですし、ノーマライゼイションを旨とする成年後見制度の趣旨を逸脱しています。任意後見契約の方は、まさにこのような事案で利用すべき制度なのですが、将来の任意後見監督人選任後のランニングコストを考えると、資力に必ずしも余裕がない方の場合には二の足を踏むことにもなりかねません。

 そこで、預貯金の一定額を娘に信託することをご提案しました。
 近く、公正証書を交わしたうえで娘さんが信託口座を開設する手はずとなっています。  (中里)