このコーナーでは、浜松から日帰りで行けるプチ観光スポットをご紹介しています。
第95回目は秘境駅②
秘境駅はこのコーナーでも何度か取り上げたことがあり(#41、#57~大井川鉄道編など)、直近では都会の中の秘境駅として#91海芝浦駅を紹介した。都会の中の秘境駅も良いが、やはり、本物の秘境駅は山奥だろうということで、ひとり飯田線に乗り込む。豊川駅で途中下車し、稲荷弁当を購入、あとは鈍行列車に揺られながら3時間、尻が痛くなるまで座りっぱなしである。今回の目的地は田本駅。#41で紹介した小和田駅よりもさらに北、長野県伊那郡泰阜村にある。
田本駅到着。降りる客はただひとり、こばやしだけ。降りても当然、駅員はいない、そして、民家もない。あるのはホーム上の待合所と、背後にある巨大な擁壁だけ。線路下は天竜川の渓谷である。ただただ静寂の中、次の電車の時刻を確認する。時刻表に目を遣ると、もはや2時間に1本とかいうレベルでなく、気まぐれで走らせてるレベルだ。駅の外へと続く道は1本、いよいよ探険の始まりだ。
駅を出てすぐに階段があり、それを上るとトンネルの上に出る。ここから駅を眺めると、いかにこの駅が断崖絶壁の中にあるかが分かる。少し足を進めると、昼間でも薄暗い林の中、道が二手に分かれている。案内ぐらいあっても良さそうだがそれらしきものは見当たらない。あきらかに上る左手と、やや下り気味の右手…ただの山道の選択なのに、手に汗握る緊張感は秘境駅であるが故だ。直感で左へ上ることとした結果、20分後に県道の通る集落へ出る。来た道のりを振り返っても、車はおろか自転車すら通ることはできない。この駅は、地元の人すら利用しない文字通りの秘境駅であると想像できる。
先の分岐点、やや下りの右手も気になったので、駅に戻ろうと思うも、来た道は引き返したくないので、直感をたよりに駅方向に向け道なき道を歩く。グーグルマップもご覧→のとおり全く役に立たない。崖が崩れてる箇所はいくつもあるし、崩れた所にかかる橋も、何だかすごく頼りない。それでもこばやしは前へ進む。駅まであと少しの(であろうと思われる)ところまで来たとき、突然道が途絶える。民家の敷地内で途切れる。あぁ…(こばやし)