(受託者の注意義務)
第13条 受託者は、本契約の趣旨に従い、信託財産の管理、運用、処分その他の信託事務を善良な管理者の注意義務をもって処理するものとし、これを怠らない限り、信託財産の価額の下落その他原因のいかんを問わず、受益者または信託財産に関して生じた一切の損害について委託者および受益者に対する責任を負わない。
2 受託者は、信託財産を受託者の固有財産または受託者が第三者から受託した他の信託財産と分別して管理し、それぞれの財産を混同してはならない。
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民事信託の場合、多くのケースで受託者には委託者が信頼するご家族あるいは近親者が選任されることになるでしょう。受託者は信託終了後の権利帰属者となるケースも少なくないでしょうが、信託報酬そのものは定めない事例の方が多いと思います。
このような事情の下で、受託者の不注意により委託者や受益者に損害が発生したような場合に、その損害の賠償を受託者に負担させるというのは少し酷な気もしますし、受託者への就任をお願いする立場の委託者としても、気が引けることになりそうです。
そこで、受託者の責任をどの程度まで軽減しつつ、一方で「信託」という仕組みゆえに軽減してはならない点をどのように契約条項として文章化するのかという点が、起案にあたって考慮されなければなりませんね。
条項の内容については、次回に続く。 (中里)