信託の基礎

次に、信託のポイントについて話します。

その前提として、信託の設定方法を簡単に説明します。図1をご覧ください。

図1

信託の設定には3通りの方法が規定されています。一つ目は、委託者と受託者が契約を締結する「信託契約」。二つ目は、委託者の遺言によって設定する「遺言信託」。三つ目は、委託者が受託者を兼ねる「自己信託」です。

最初に、信託は3人の登場人物で構成されると申し上げました。委託者・受託者・受益者です。しかし、この登場人物については、一人二役を兼ねることもできます。「自己信託」のように「委託者=受託者」や委託者が利益を享受する「委託者=受益者」(これを、「自益信託」と言います)という信託もできます。ただ、原則として「受託者=受益者」はできません。受託者は、「他人のため」つまり受益者のために信託財産を所有しているからで、「自分のため」に所有するのは信託ではないからです。

これを、財産管理の面から見ると「他人のため」の信託財産と「自分のため」の固有財産を取り分けておくことが信託において必要であるということが理解できると思います。

図2

このような取り分けを「信託財産の独立性」と呼びます。受託者のもとにある固有財産と信託財産の分別が機能すれば、信託を運営していくことができます。そのことは、「自己信託」が証明しています。「自己信託」とは、委託者が自分の財産の一部を「以後、この財産を信託財産として別扱いする」と宣言するものです。宣言することによって、自分の財産の中で信託財産と固有財産を取り分けるのです。このような取り分けは理論的に可能であると信託法は考えるから、委託者と受託者が同一人物である「自己信託」を認めているのです。

したがって、信託のポイントは「信託財産の独立性」ということになります。(小出)

 

こば紀行#67 藤枝朝ラーメン

このコーナーでは、浜松から日帰りで行けるプチ観光スポットをご紹介しています。

第68回目は藤枝朝ラーメン

サッカーの街、藤枝。しかし、ここはそれ以上にラーメンの街である。7、8年前にテレビで取り上げられるようになって以来、全国的にも有名となった朝ラーメン、発祥は1919年と100年近い歴史を持つ。その発祥と言われる店が今回訪れた「マルナカ」、藤枝の中心街からは少し離れた、旧東海道沿いにある。

藤枝はお茶の産地としても有名で、お茶の取引は午前3時~4時頃からはじまり早朝6時過ぎには終わる。そのお茶関係の仕事をする人達が、早朝の作業を終えたあとに食べられるよう、開店時間が徐々に早まっていたものだそうだ。朝ラーメンを提供する店舗は市内に15店舗ほど、朝7時、8時頃から開店し、なかには昼前に終わってしまうところもある(藤枝朝ラー文化軒究会調べ)。まさに、この地域の産業とも絡んだ、独自の文化と言えよう。

味は、魚介ベースの醤油だれをあっさりしたスープで割ったもの。麺は中太でコシがあるというよりはツルツルと食べやすい感じ、藤枝・焼津・島田地域独特のもので「志太系ラーメン」とも呼ばれている。私見だが、スープは少し甘めの蕎麦つゆに近く、麺の喉越しは太いそうめんを食べているイメージ、チャーシューは脂身が少なくあっさりしている。いかにも朝でもスッキリ食べられてしまう味と喉越しなのだが、驚くべきは、客の半数は熱いラーメンと冷たいラーメンの両方を食べていることだ。

冷たい麺は夏のみならず、1年中提供していて、麺はほぼ同じだと思うが、スープは普通のラーメンよりもさらに甘く、ワサビを溶きながら食べる。まず「温」たかい麺(写真左)から、その後におかわりで「冷」たい麺(右)を食べるのが風習のようだ。店によっては「セットで」と頼むと、それだけで「温」と「冷」2つのラーメンが出てくる。そして、このラーメン目当てに朝から行列ができている。すごい街だし、文化だと思う。(こばやし)

2018年7月24日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : trust

将来のための備え

先日、母親が認知症になり母が所有している不動産を売却することができないので、成年後見制度を利用したいという方の相談を受けました。

 

色々と成年後見の制度や手続きについて説明し、

『成年後見制度利用後は、本人(母親)の財産は本人(母親)のために使用しなければならないので、家族のために本人のお金を使ったり一時的でも本人のお金を借りることはできない』

とお伝えしたところ、相談者の方が大変驚かれて『それは困る』と言われました。

 

聞けば、相談者の方の収入だけでは生活を維持することができないため、長年に渡り母親に生活費の一部を毎月援助してもらっている状態で、今後生活費を援助してもらえなくなると生活が立ち行かなくなってしまう、とのことでした。

こういった場合、母親が成年被後見人となった後でも相談者のために生活費を援助できるかは、被後見人(母親)が相談者を扶養する義務があるか否かによります。

援助を必要とする人が本人(母親)の配偶者や未成年の子であれば扶養義務が認められ、母親と同程度の生活を維持できるよう、援助することが可能です。

しかし、援助を必要とする人が配偶者や未成年の子以外の親族の場合、(今回の相談者のようなケース)については、母親が自己の地位相応の生活をしてなお余裕がある場合にだけ、相談者の最小限度の生活が立つ程度の援助をすれば足りると解されています。

したがって、成人に達した子の生活費、教育費などは被後見人(母親)の財産から当然に支出できるものではありません。相談者が病気では働けないなどの事情があれば別ですが、基本的に扶養の義務の範囲や限度は厳格に判断されており、援助を受けるハードルは高いと言わざるを得ません。

相談者の場合、援助が引き続き受けられる可能性は限りなく低いものでした。

この相談者の方は、結果的に援助を受けなくても自身の年金等で生活を維持することができることになりましたが、このように生活費を援助してくれていた方が認知症になって困るケースは少なくありません。

 

援助をする方が意思表示ができなくなってしまうと、場合によっては援助を受けられなくなってしまうことがあります。

今回のケースの場合、母親が意思能力があるうちに、相談者のために母親の財産を民事信託をしておけば、母親が認知症となった後も生活費を支援することができました。

超高齢化社会の昨今、将来のことを考えて家族のために色々と備えておかれるのも大切だと思います。

 

 

2018年7月20日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : trust

報酬(11)

次に「コンサルティング」を検討しましょう。
とは言っても、再三指摘のとおり「コンサルティング」の具体的な中身は明らかではなく、筆者の想像をもとに書き進めるしかないわけで、この点は実際とは異なる部分も少なくないと思います。あらかじめご承知おきください。

「コンサルティング」という言葉で筆者が想像するのは、信託の全容を管理し、当事者の選定、信託財産の管理・運用方法や処分方法等をすべて自身の描いたプランにしたがって実現化することを請け負う業務、というイメージです。
極端かもしれませんが、委託者のどのような財産をどのように管理し、運用し、処分するのかは「コンサルティング請負人」の胸先三寸で決まり、受託者は、いわば「コンサルティング請負人」の使者にすぎないというような姿を想像してしまいます。
ここまで極端でないとしても、信託の全容を多かれ少なかれコントロールする立場にある者と位置付けられることができるでしょう。この想像が業務の実態と合致しているのであれば、信託財産を包括的に管理しているように理解できますので、報酬の点だけ見れば「信託財産の●%」という定めも妥当といえなくはなさそうです。

ところで、このような業務は、司法書士法による制約がないのでしょうか?
このシリーズの最初の方で、くどくどと司法書士業務について解説をしてきました。その際に指摘したことの要旨は「司法書士にお任せします!」という依頼の仕方ができるのは140万円以内の民事の紛争に限りますよ、ということでした。
もっとも、司法書士は家庭裁判所から成年後見人などに選任される場合もあり、この場合も包括的な財産管理は可能です。信託における「コンサルティング」の性質は、「140万円以内に民事紛争」よりも「成年後見業務」に近いと言えるでしょう。
しかし、信託財産を包括的に管理すべき立場にあるのは「受託者」であって、「コンサルティング請負人」ではないはずです。「コンサルティング」と称して信託の全容に多かれ少なかれコントロールしたいのであれば「受託者」に就任するか、これが信託業法の規制に抵触するのであれば少なくとも「信託監督人」の地位に選任してもらうべきではないでしょうか?
そうすると、「コンサルティング」という名の下に信託を管理下に置き、「信託財産の●%」という報酬を受領する行為は、やはり信託業法の脱法に該当すると指摘できるように思うわけです。   (中里)

2018年7月19日 | カテゴリー : 報酬 | 投稿者 : trust

認知症になるとできなること・・

セミナーの講師をさせていただくことが時々あります。

認知症対策(財産管理)をテーマにすると「認知症になるとできなること」というシートをよく使います。

その中で説明するのは、

不動産をはじめとする重要な財産の処分ができなくなる

銀行での預金の引き出しや解約ができなくなる

子供等に贈与ができなくなる・・

つまり、様々な重要な法律行為ができなるというお話です。

例えば、このテーマで経営者を集めようとしてもなかなか集まりません。

なぜなら、ほとんどの経営者が「自分は認知症にはならない。元気だ!」

と思っているからです。

認知症はあくまで、一つの例であって、経営者が交通事故に遭う、脳卒中になる、高度障害状態になる・・、つまり、想定外のことが起きるリスクはもしかしたら認知症になる以上の確率かもしれません。

経営者の「万が一の事態」に備えることは、保険に加入することと同じくらい重要なのかもしれないと思うのでした。(ななみ)

 

2018年7月18日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : trust

以前のお客様から

それは4年前の出来事でした。

ある女性が弊所にお越しになりました。

聞けば,近々離婚をする予定なのだということです。しかし,土地は実父の名義ですが建物は夫の名義なのだということです。夫のみが債務者となっている住宅ローンがあります。夫はその建物に住むことはない,当該女性が子どもとともにこれから住んでいくのだということです。

離婚のとき,難儀するのが住宅ローンです。夫としては出て行く以上,ローンは支払いたくない。

このお客様の場合には,実父が建物を買い取ることとし,そのお金で住宅ローンを完済することができました。

女性は,実父と賃貸借契約を結び住み続けることになり一件落着でした。

その女性から久しぶりにお電話をいただきました。

離婚,住宅ローンの件は特に異常がないということでしたので,ひとまず私も安心しました。

しかし,全然別件で相談があるという・・・。

弊所を覚えてくれて,また相談していだけるというのはとても嬉しいことです。

少しでも力になることができるように心してかかりたいと思います。

(本木敦)

2018年7月17日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : trust

信託の基礎

次に、信託の要件について話します。信託は財産を受託者に託する財産管理方法を定めたものですから、

①「一定の財産が存在し、それが受託者に帰属すること」

が要件となります。

それから、委託者は何らかの目的で受託者に託するわけですから、

②「信託の目的が定められていること」

も必要です。そして

③「受託者は、信託の目的に従って、信託財産につき、管理・処分など、その目的の達成に必要な行為をする義務を負うこと」

が信託の要件となります。

このように信託の要件を定めた理由は、「固有財産」と明確に区別するためです。例えば、受託者が賃貸マンションを固有財産として所有しているとします。賃貸マンションから得られる賃貸収入は、修繕費用として積み立ててよいし、別の資産(株など)の購入資金に充ててもよいし、遊興費として散財しても問題ありません。なぜなら、「自分のため」に固有財産を所有しているからです。しかし、賃貸マンションが信託財産であれば話は違います。例えば、障害を抱えた子の施設利用料の支払いために賃料収入を充ててほしいという目的があれば、いくら受託者が信託財産を所有していても、遊興費などに費消する、なんてことは当然できません。これは、受託者が「他人のため」に信託財産を所有しているからなんです。このことは、信託法2条1項に規定されてます。「他人のため」に信託財産を所有していることは、信託契約の「信託の目的」に記載される条項ともなります。

したがって、もっぱら受託者の利益を図る目的でなされた信託は、「他人のため」に信託財産を所有しているとは言えませんから、「信託の目的」を失ってます。つまり、信託が有効に成立していないということになります。

一般に信託の目的は、

①受託者が信託事務を行う上での指針となり、その権限の外延を画する機能を有する

と言われています。実は、もう一つの役割として、「自分(受託者)のため」の信託は信託ではないということから、

②信託の存続可能性を判断する基準も併せ持っている

ということを確認しておいてください。(小出)

2018年7月13日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : trust

こば紀行#66 甲州さくらんぼ狩り

このコーナーでは、浜松から日帰りで行けるプチ観光スポットをご紹介しています。

第66回目は甲州さくらんぼ狩り

さくらんぼ狩りのシーズンは6月上旬~下旬、場所によっては5月末から7月上旬くらいまでやっているところもある。今回訪れたのは山梨県甲州市にある農園だ。朝7時前に浜松駅を出発、静岡駅でワイドビューふじかわに乗り換え、甲府駅からさらに東へ7駅行く。もちろん車で行くことも可能だが、「休日乗り放題きっぷ」を利用すれば浜松~甲府間は1日2,670円(特急券は別)で往復できる。

くらんぼ狩りは食べ放題40分2,000円、佐藤錦、紅秀峰、高砂等の品種の食べ比べができ、事前予約が必要なところが多い。他のフルーツ狩りが割と時間にルーズなのに対し、今回は時間になると名前が呼ばれるほど時間管理されている。その分、品質管理も徹底されているということなのだろう。木の枝についているさくらんぼの実を取るあたり、いかにもフルーツ狩りという感じがして良いのだが、より甘い実を求めようと思うと梯子を伝い高い所まで上る必要があり、あまり小さな子供がいる家族向きではない気がする。

上記のようにさくらんぼ狩りだけではあっという間に終わってしまうため、続けて隣駅の「勝沼ぶどう郷」まで足を伸ばす。ここは国内でも屈指のぶどうの産地で、ブドウ農園やワイナリーが至るところにある。駅を降りてすぐ向かいの丘の上に「ぶどうの丘」と呼ばれる複合施設があり、食事や買い物を楽しめるほか、180銘柄のワインを試飲できる。もっとも、私の場合、4銘柄も試飲しないうちにできあがっている。

少し酔いを覚ますべく、周辺を散策することとなった。ちょうど散策マップ的なものがあったので、それを片手に歩き出す。もっとも目を惹いたのが「大日影トンネル遊歩道」で、明治36年に開通した中央本線の当時の鉄道トンネル内を歩けるというもの。駅を起点に1周歩くと約2時間にもなるコースだが、ただ鉄道トンネル内を歩きたい一心で、坂を登ったり下りたり、ゼーゼー言いながら歩き続ける。ワインでほろ酔い気分なのはすっかり遠い昔のことのようだ。

1時間半以上は歩いただろうか、ようやくお目当ての大日影トンネルらしきものが見えてきた!テンションが上がる。が、そこで目にしたものは…

←閉まっとる(゚Д゚)

この時は、到着時間が遅かった(夕方5時頃)せいだと思っていたのだが、帰ってしばらくして散策マップに目を遣ると「一時閉鎖中」の文字があるのに気付く。そもそも最初から無理筋だったのだ。

失意の中、駅への近道もなく、もと来た道を1時間半かけて引き返す。その足取りは来たとき以上に重い。救いなのは、こんな散々な紀行に付き合ってくれる同行者の存在と、甲府盆地ののどかな風景、あたり一面に広がるブドウ畑が私の心を癒やしてくれること。今はまだ、ほんの小さなブドウの実、この実が大きくなり熟す頃、また来られたらと息切れしながら願う。(こばやし)

 

2018年7月12日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : trust

信託の目的

民事信託の契約を締結する際、必ず「信託の目的」を決めます。

 

この「信託の目的」は、信託をなぜ、何のために、誰のためにするのかを設定するもので、信託契約締結後、受託者が委託者の財産をどのように管理するか、処分するのかの行動指針になる非常に大切な要素です。

 

具体的には、以下のようなものが挙げられます。

・自分が家族のように大切にしているペットの管理、生活の保護

・自分の老後の財産管理

・後継者への円滑な事業承継のため

・障害のある子の生涯にわたる生活支援、財産管理

 

しかし、最近になり、信託をやりたい方(といっても財産を所有している方(委託者となる方)ではなく、家族の財産を管理したい方(受託者になりたい方))がご相談にお見えになり、

「信託の目的は特にないが、家族が認知症になって財産が自由に処分できなくなったら困るから信託したい」

と言われることがあります。

 

信託後の財産の使い道を詳しく聞いてみると、

・本人(財産を所有している方)の生活費、介護費、医療費

・自分(受託者になりたい方)の住宅資金

・孫の教育資金に充てるかもしれない

・とにかく何が起こるか分からないから何でも使えるようにしたい

と言われ、要は自分(受託者)の自由な判断で、家族の財産を自由に処分できるようにしたいという希望でした。

 

しかし、民事信託は、委託者の財産を受託者の方に丸投げするものではありません。

委託者は、自分の希望や方針及び権限をきちんと決めた上で受託者に財産を託し、受託者は、その委託者の希望や方針に反しない限り、柔軟な財産管理・積極的な資産の有効活用を実行できます。

 

受託者は、委託者の財産をあくまでも委託者の希望に反しない範囲内で自由に管理処分することしかできませんが、どうも「民事信託すれば家族の財産の財産を何でも自由にできる」と思われている方が増えているように思います。

2018年7月11日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : trust

報酬(10)

引き続き、信託業務について司法書士が「信託財産の●%を報酬とする」というような成功報酬制を採用することの妥当性について検討します。

信託契約締結後の「継続的なフォロー」や「コンサルティング」という用語でくくられた、司法書士が実際に提供する業務の中身を検証する必要があるというのが前回の指摘でした。「フォロー」なり「コンサルティング」なりが、受託者を司法書士のコントロール下に置くような外観を作出していたとすれば、信託業法脱法の疑いもあるというのが前回のまとめでした。

しかし、信託契約締結に関連する事務作業がひと段落した時点、つまり受託者としての日常の受託業務が回り始めた以降は、司法書士が受託者の相談に応じたり、あるいは信託財産全般のコンサルティング(もっとも、「コンサルティング」の実態が何なのかは未だ明らかではありませんが)をしなければならないニーズがどれだけあるのかは疑問です。

受託者の業務遂行が適正か否かを監督する必要があるならば、あらかじめ信託契約の中で信託監督人の定めを置き、その報酬に関する規定も設けられるはずです。逆に信託監督人の定めがないのであれば、委託者は「受託者の監督」という機能を求めていないと判断できます。受託者自身が「自分の業務遂行に不安がある」ということで司法書士に相談するということは考えられますが、この場合の相談料が信託財産から支出されるのはおかしいですよね。受託者が自身で相談を求めたわけですから、信託財産からではなく、受託者の固有財産から支払われなければなりません。
また、この手の受託者からの相談は、信託契約締結後の個別事情に起因する相談であり、契約締結前にこのような相談が定期的かつ継続的に発生するという事態は想定されていないはずです(仮に想定していたとするならば、それこそ信託監督人の定めをしておくべき事案でしょう)。この際の金額は、各事務所の報酬規程が「相談業務」をいくらとしているのかによりますが、通常は、1時間あたり数千円~1万円程度という価格設定をしているケースが多いように感じます。この点は、各事務所の報酬規程を確認する必要がありますが、単発的相談の積み重ねの対価が「信託財産の●%」というのは、私は均衡性に欠くように感じます。   (中里)

 

2018年7月10日 | カテゴリー : 報酬 | 投稿者 : trust