信託の目的

民事信託の契約を締結する際、必ず「信託の目的」を決めます。

 

この「信託の目的」は、信託をなぜ、何のために、誰のためにするのかを設定するもので、信託契約締結後、受託者が委託者の財産をどのように管理するか、処分するのかの行動指針になる非常に大切な要素です。

 

具体的には、以下のようなものが挙げられます。

・自分が家族のように大切にしているペットの管理、生活の保護

・自分の老後の財産管理

・後継者への円滑な事業承継のため

・障害のある子の生涯にわたる生活支援、財産管理

 

しかし、最近になり、信託をやりたい方(といっても財産を所有している方(委託者となる方)ではなく、家族の財産を管理したい方(受託者になりたい方))がご相談にお見えになり、

「信託の目的は特にないが、家族が認知症になって財産が自由に処分できなくなったら困るから信託したい」

と言われることがあります。

 

信託後の財産の使い道を詳しく聞いてみると、

・本人(財産を所有している方)の生活費、介護費、医療費

・自分(受託者になりたい方)の住宅資金

・孫の教育資金に充てるかもしれない

・とにかく何が起こるか分からないから何でも使えるようにしたい

と言われ、要は自分(受託者)の自由な判断で、家族の財産を自由に処分できるようにしたいという希望でした。

 

しかし、民事信託は、委託者の財産を受託者の方に丸投げするものではありません。

委託者は、自分の希望や方針及び権限をきちんと決めた上で受託者に財産を託し、受託者は、その委託者の希望や方針に反しない限り、柔軟な財産管理・積極的な資産の有効活用を実行できます。

 

受託者は、委託者の財産をあくまでも委託者の希望に反しない範囲内で自由に管理処分することしかできませんが、どうも「民事信託すれば家族の財産の財産を何でも自由にできる」と思われている方が増えているように思います。

2018年7月11日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : trust

条解信託法を購入!

前回、民事信託の活用は、ゴールから考えるという記事を書かせていただいたのですが、

清算受託者のやるべきことなどが、通常の解説本では今一つ分からないところがあったので、思い切って(少々お高いです)、信託法の注釈書である「条解信託法」(弘文堂)を購入させていただきました。

信託法は、条文を読むだけでも比較的分かりやすく書かれているのですが、条文の趣旨や言葉の定義をより正確に把握するには、条文一つ一つについて詳細に書いてあるものが必要となります。

本書を購入後、早速、清算受託者の職務の終了等を規定する第184条について調べてみました。なるほど。やはり、通常の解説本より正確にイメージすることができました。

ただ、未だにスッキリしないところもあるのです。もしかしたら、それは日本語の「及び」の解釈の問題なので、当たり前すぎて注釈本でも解決できないことかもしれません。

もう少し悩んでみるつもりです。(ななみ)

2018年7月9日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : trust

信託に相応しい案件の考察(3)

本人が所有している不動産は,比較的築が浅く,そんなに大規模な修繕が予定されていない。

本人は売却することを希望していない。あるいは売却してその現金で,今と違うところに投資物件を所有して欲しいという希望もない。

そうすると,不動産については,基本的には現状維持ができれば差し支えないことになってしまう。

この案件では,積極的な運用ということがキーワードになった。

何でも信託にすればよいというものではなく,事案によっては,信託でなくても対応できる。

(この事案終結。新事件に続く)

文責:本木敦

2018年7月7日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : trust

こば紀行#65 大井川鉄道⑥~尾盛駅

このコーナーでは、浜松から日帰りで行けるプチ観光スポットをご紹介しています。

第62回目は大井川鐵道編最終回、尾盛駅

尾盛駅は大井川鉄道(通称だいてつ)一の秘境駅だ。8両編成の列車に、ほぼ満席の客を乗せて通過する時点で果たして秘境駅と言えるかは微妙だが、周囲には何もないこの駅で、ただ一人降りる私を乗客達は物珍しげに見ていき、中には手を振ってる人までいる。「見せもんじゃねーぞ!」心の中でそうつぶやきながら、ひきつった笑顔で手を振り返す。

周辺には当然、民家などはなく、駅に通じる公道さえない。徒歩か鉄道でしかこの駅へは到達できないという点で、以前ご紹介した小和田駅に通じるものがある。ここも、かつてはダム建設関係者のために周辺に多数の宿舎や小学校もあったそうだが、今はその名残と覚しき廃墟しかない。真の空き屋問題とはこのことなんだろうが、私にはこの光景を目の当たりにしたところで何もできない…次の列車が来るまで1時間、ただただ静かな時間が流れる。

散策にも飽きて駅前に戻ると、鉄道関係者用の保線小屋の扉が開くことに気付く。5、6年前、この付近に熊が出没したらしく、それ以来、避難用に解放されているようだ。中には関係者が仮眠できるように畳敷きの座敷やさびれた暖房器具、やかんなどが置かれている。ここを訪れた人が、記念に書き綴る「思い出ノート」的なものもあるが、それ以上に目を張るのがデスクの上に無造作に置かれた雑誌群だ。

 

こうして並べてみると、何やらいかがわしいサイトのようで、迂闊にクリックしたら怪しいページに飛んでいきそうだが、ご安心あれ、ここはこば紀行だ。いずれも平成2~5年頃の巻頭表紙、皆さんは何人お分かりだろうか。左から、和久井映見、中村あずさ、工藤夕貴、有森也実…右は不倫直前?の聖子。当時、「東京ラブストーリー」に夢中の高校生こばやしは、保奈美(リカ)派ではなく、断然この也実(さとみ)派だった。ちなみに高校生こばやしは、この頃ブレイクし始めた左の方に似てると言われていた。今思えば大変光栄なことだが、織田裕二みたいになりたかった思春期男子としてはあまりに心外で、以来クラスメートには心を閉ざした。黒歴史である。

誰もいない秘境駅、ただひとり、平成の始まりを振り返る時間…それは自分自身を見つめ直す時間でもある。平成も終わろうとしている今、皆さんもこの秘境で自分自身を振り返ってみてはいかがだろうか。(大井川鐵道編、完)

 

 

 

2018年7月4日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : trust

信託と借入れ(金融機関)

先日、民事信託を利用中の方(受託者)の方からお電話をいただきました。

 

その方は、受託者として管理しているアパートが古くなり修繕が必要なので、金融機関から修繕費用を借りようとしたそうです。

しかし、色々な金融機関に相談してみたものの、なかなか『民事信託』を理解し、民事信託に合わせた借入ができる(受託者として借入ができる)金融機関がなく、途方に暮れてしまったそうです。

 

色々な金融機関により色々なことを言われたそうで、

・委託者の方を連帯保証人にしないとダメだと言われた

・委託者の方自身が借りないとだめだと言われた

・受託者の方だけでは借入手続きができないので、委託者の方も連れてきてほしいと言われた

・民事信託が分からない(取り扱いがない)ので、受付できない

上記のようなことを言われて困り果ててしまったそうです。

 

近年民事信託が話題となり、少しずつ金融機関の取り扱いも変わってきているのですが、

まだまだ対応してくれるところが少ない(又は取り扱いがはっきりしていない)のが実情です。

 

また、一般の個人の方が修繕費やアパートを経営するための運転資金を借りたい場合、金融機関が個人の方にそういった資金を融資する商品を用意していない場合があります。

 

(金融機関としては、運転資金は中小企業向けのものはありますが、個人向けのものはないことが多いです)

 

通常、金融機関が個人の方向けの商品として用意しているのは、

・カードローン

・車、教育ローン

・住宅ローン

・アパートローン

などが一般的です。

その中のアパートローンというのも、建築地の購入やアパートの新築資金、他の金融機関からの借換のための融資のことで、修繕費や納税資金などは対応していません。

 

ご連絡いただいた受託者は、金融機関から融資を受けなくても何とかなったそうなのですが、

色々な状況が起こりうるのだと実感しました。

 

 

 

 

2018年7月3日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : trust

民事信託の活用は、ゴールから考える

受益者の死亡等の信託の終了事由が発生すると、信託は精算が開始することになります。

信託に取り組むを、ついつい信託財産を組成することに目が行ってしまいますが、信託が終了するときのことを考えておくことは、それと同等、もしくはそれ以上に重要になるかもしれません。

例えば、精算受託者は、その職務を終了したときは、遅滞なく、信託事務に関する最終の計算を行い、信託が終了した時における残余財産受益者及び帰属権利者のすべてに対し、その承認を求めなければなりません(信託法184条)。

この規定には、信託法によく登場する「別段の定め」はないので、「その承認を求めること」を別段の定めにより省略することはできません。

適正に精算業務が行われていれば、そんなに問題になることはないと思いますが、受託者は、最後まで気を抜くことはできません。

信託は一度始まると長期に渡ることが通常です。常にゴール(出口)をイメージしながら内容の検討をすることをお勧めいたします。(ななみ)

2018年6月29日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : trust

信託に相応しい案件の考察(2)

信託に相応しい案件の考察(1)の事例をもとにして考える。特に不動産の管理について焦点を当てていきたい。

共同住宅2棟は,比較的新しい。ここでは,所有者(本人)は特に売却などを希望していない。

本人はこの建物を含めた不動産業を娘に円滑に引き継がせていきたい,本人の判断能力が怪しくなったら娘がやって欲しい。

しかし,娘にはその気概はなく,不動産業というよりは,父の判断能力が無くなったときにお金が動かせるようにしておきたいことを希望している。

私はこの事例でのポイントは,今後,不動産の積極的な運用が必要か否かで結論が変わってくるのではないかと考えた。

なぜなら,本人の所有する不動産を自由に動かせるようにしておく必要があるのかどうかで,用意しておくべき準備が変わると思われるからだ。

(続く)

文責:本木敦

2018年6月28日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : trust

こば紀行#64 大井川鉄道⑤~井川駅

このコーナーでは、浜松から日帰りで行けるプチ観光スポットをご紹介しています。

第60回目は大井川鐵道編第6弾、閑蔵~井川

久々の大井川鐵道編再開。閑蔵~井川間は井川線の中で最も駅と駅の間が長く、いくつものトンネルを抜けて終点井川駅へと辿り着く。井川線はもともとがダム建設のために敷設された路線であり、長島ダム完成によりその本来の役割は終えた。旧路線区は水没、一時は廃線の危機にあったが、観光列車として残すべくダムの上を通るよう移設、それに伴い急勾配にも対応できるアプト式列車の導入、湖上駅の新設へと繋がる。

終点井川駅の標高は686M、静岡県の鉄道駅では最も高地にある。やり切った感があるが、頑張ったのは列車の方だ。終点にふさわしく駅舎にも哀愁が漂う。周辺に民家はなく、ただ、出てすぐのところに老夫婦が営む食事処があり、この小さな食事処に観光客が群がり列をなしている。完全に店のキャパを超えた客入りだったようで、目当てのきのこそばや山菜そば等はことごとく品切れ、中華そばしかないと言われた。朝から何も食べていなかったので仕方なく頼むも、本来乗るべき?チャーシューも品切れなのか、ハムがのっている。。食後の私の背中は駅舎以上に哀愁漂っていたと思う。

気を取り直して足を前に進める。井川ダム沿いに廃線跡があり、その線路上をスタンド・バイ・ミーのように歩くことができる。周辺に民家がなかったのは、井川駅より先も、集落まで続く線路が延びていたためだ。ダム湖自体を周遊できる渡船もあるようだが、あいにく水量不足によりこの日は出ていなかった。この他、どこかで聞いたような名前の「夢の吊り橋」(寸又峡か)や「井川大仏」などが見所としてある。静かな山間の街並みを見ながらのハイキングは気持ちが良い。

おおよそ1時間半程度、プラプラ歩いたのちに井川駅へと戻る。次なる目的地は尾盛駅、終点井川駅より2駅戻ったところにあるスーパー秘境駅だ。そこでこばやしは驚くべきものを目にする…次回、大井川鐵道編最終回!(つづく)

 

 

2018年6月26日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : trust

ケガしました

先日、夕飯の支度中に手が滑って左手の親指を包丁で切ってしまいました。

 

勢い良く切ってしまったので、かなり深手となり、絆創膏ではどうにもこうにも血が止まりませんでした。

これは病院に行くしかない、と思ったものの、夜間だし、救急車を呼ぶほど緊急性はなかったので、夜間救急室に行って処置をしていただきました。

 

浜松市の場合、医師会館の1階に『夜間救急室』が設置され、外科の場合は夜8時から夜12時まで見ていただけます。

医師に傷を見せたところ、即『縫いましょう』と言われて人生初の手術台に乗ることになりました。

何針か縫っていただき、現在は週2回くらい傷の具合を見せに行く日々です。

 

『夜間救急室』の話を知人にしたところ、「自分の地元にはそのようなところはない」という方や「自分の自治体は当番の先生が決まっているので、自分で当番の先生とその先生の医院の場所を調べていかなければならない」という方がいて、浜松って恵まれてるのだな、と実感しました。

有難い・・・

 

左手を使うとケガした親指も痛むので、何だかんだ片手で作業しなければならない日々が続いています。早く治ってほしいです。

 

 

 

2018年6月25日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : trust

追加信託って何?

信託契約は、委託者と受託者との間で、信託目的や信託財産を定めて契約を締結しますが、契約締結後に金銭等を信託財産に追加することを「追加信託」といいます。信託法上の規定はなく、実務上認められている概念とされています。

金銭の追加信託については、実務的にも信託契約書に書かれていることが通常です。金銭の追加信託は特別や書面などは不要で、委託者兼受益者から受託者が管理する受託口座へ振込する形で行われることが多いと思います。ちなみに、金銭の場合には、信託契約書に追加信託に関する条項がなくても追加信託は可能のようです(なるべく書いておくことをお勧めしますが)。

一方、不動産の追加信託については、そもそも追加信託はできないという方がいらっしゃいます。可能という説でも、信託契約と登記が必要とされていますので、それは追加信託ではなくて新たな信託契約と捉えることができるとも思います。いずれにしても不動産の追加信託は、金銭のように気軽にはできないと思っておいた方がいいことは確かなようです。(ななみ)

2018年6月21日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : trust