遺留分の放棄

本日、遺留分の放棄の相談をいただきました。

『遺留分』とは、相続人が最低限の遺産を確保するために設けられた制度のことで、兄弟姉妹以外の相続人には相続財産の一定割合を取得できる権利(遺留分権)があります。

例えば、Aに妻Bと子Cがいる場合、Aさんの相続人はBとCとなり、法定相続分はBが2分の1、Cが2分の1となります。このようなケースで、Aさんが『全ての遺産は妻Bに相続させる』という遺言書を残した場合、法定相続分より遺言書が優先させるため、遺言書通りに遺産が分配されるとCは何ももらえないことになります。このような場合にCの権利を保護するため、最低限の遺産を取得できる権利が保障されております。(このケースでは、Cの遺留分は4分の1となります)

 

しかし、この『遺留分』は、相続の開始前(被相続人の生存中)に、推定相続人が家庭裁判所の許可を得て、あらかじめ放棄することができます。

Cが遺留分を放棄すれば、『全ての遺産は妻Bに相続させる』という遺言書を残した場合でも、もめることなく全てBが相続できます。

相続人にとってあまりメリットがない制度であるため、遺留分の放棄は申請すれば必ず認められるものではありません。法律で守られた遺留分という権利の放棄を無制限に認めてしまうと、財産を残す側や他の相続人の強要が行われるという恐れがあるためです。

そのようなことがないように、遺留分の放棄を行う場合には、どのような事情があって、その事情が正当かどうかということを、家庭裁判所が申立てをした本人を裁判所に呼び出し、きちんと審査することになっています。

一般的には、相当生前贈与を受けていて、遺留分をもらわなくても問題ない、というケースが多いようです。

 

弊所も何度かご相談はいただくのですが、申立件数がそんなに多い手続きではなく、弊所も実際に申立てたケースはありません。なので、どの程度の資料や理由付けが求められるのか手探りの状態です。

どうなることか・・・

 

 

 

 

2019年1月15日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : trust

こば紀行#82 伊勢神宮内宮

このコーナーでは、浜松から日帰りで行けるプチ観光スポットをご紹介しています。

第82回目は伊勢神宮内宮

本年の初詣は伊勢神宮まで出かけた。一昨年の年末にもお伊勢参りには来ているが、その時は外宮と伊勢うどんの食レポで終わってるため(こば紀行#11参照)改めてやって来た。例の如く、青春18切符利用で鈍行の旅約3時間、外宮から回り赤福ぜんざいを食べるくだりまでは前回と全く同じである。ぜんざいを食べた時点でもう帰ってもいいかなとも思ったが、頑張って内宮行きのバス待合所へ向かう。

勢市駅から外宮までは徒歩5分程度、外宮から内宮へは路線バスのほか、直通バスが出ている。料金は400円程度、正月2日の参拝のため長蛇の列ができている。バスの順番待ちで20分、道中20分程度で目的地に到着、宇治橋→神苑→五十鈴川御手洗場→御正宮→荒祭宮…ほぼひととおり回る。普段であれば1時間程度で回りきれるのだろうが、正月なだけにそうもいかない。御正宮でお詣りするまでに40分程度は待ったと思う。

ぜーぜー言いながら小銭がなくなるまでお詣りした後は、おかげ横丁で腹ごしらえを。食事処から土産処まで60余りの店が軒を連ね、まるで1つの町のようになっている。散策しながらゆっくり見て歩きたいところだが、この人だかりだ。流れに身を委ねるしかなく、入った食事処も15時を過ぎたというのに10組以上の待ちがある。豚捨の牛丼をオーダーしたのだが、あまりのうまさと空腹で、食べかけの写真となってしまった。お土産は牡蠣の佃煮がおすすめである。

本年もどうぞよろしくお願いします。(こばやし)

2019年1月15日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : trust

叶(かなう)勉強会2019始動!

今日は、今年初めての叶(かなう)勉強会でした。

毎月発行している叶(かなう)の編集作業の後、信託と遺留分についての判決とされる平成30年9月12日東京地方裁判所判決の検討をしました。

中里さんが事案の概要の説明と争点のポイントを整理をしてくださいました。

分かりやすい解説で、受益者連続の場合の課題と信託目的の重要性をあらためて感じることができました。

叶(かなう)メンバーは、今年も、日々精進して参ります。(名波)

2019年1月9日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : trust

相続登記について(8)

次に遺産分割による相続登記の本人確認・意思確認ということについてです。

遺産分割による相続登記を申請するときは、所有権を取得する者の単独申請ですので、申請人の本人確認・意思確認で足りるようにも思われます。

相続登記は登記上の前登記名義人が死亡していることから単独申請となっているにすぎません。

先ほどもお話しましたが、遺産分割協議は契約類似の処分行為と考えられますので、登記原因証明情報としての遺産分割協議書はその内容の真実性、有効性、適法性が確保されていなければなりません。

登記手続き上は単独申請となっていても、実体上は権利の得るもの失う者がいるので、当事者全員の本人確認・意思確認が必要となってくるものと考えます。

これは、法定相続分による相続登記を行った後に遺産分割を行った場合には共同申請となり、法定相続分を失う者の本人確認・意思確認が厳格に要求されることからも説明できます。

単独申請となる相続登記のときに、遺産分割の当事者全員の本人確認・意思確認を行うことは、その義務を加重するものではないということです。

(本木敦)

2019年1月8日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : trust

こば紀行#81 君ヶ浜海岸 

このコーナーでは、浜松から日帰りで行けるプチ観光スポットをご紹介しています。

第81回目は君ヶ浜海岸

東京から銚子駅まで約3時間、銚子駅からは銚子電鉄に乗り換える。銚子市とこの電鉄沿線はその昔、沢口靖子の出世作「澪つくし」の舞台ともなった地だ。銚子電鉄に乗り換え、沿線を散策できるように1日乗車券(1,000円)を購入する。車内は少しレトロな雰囲気で、乗客はほぼ観光客だ。目指すは終点外川駅、ガイドマップを片手に、途中、気の向くままに乗降車する。

大概の人は終点外川駅か1つ手前の犬吠で降りるようだが、こばやしはそのさらに1つ手前の君ヶ浜で降車した。駅はもちろん無人駅、降りると辺り一面にキャベツ畑が広がる。そのキャベツ畑の真ん中を、一本の道がまっすぐ延びる。静寂な空気の中、キャベツ色の絨毯をひた歩く。松林を抜けると、様相は一変する。眼前に広がる君ヶ浜海岸は、少し波を荒げながら音を立て、時折カモメの鳴き声を交える。どんより雲と、無情に吹き付ける冷たい海風は、どことなく今年の自分を象徴している。

海岸から犬吠埼灯台、外川の漁村にかけて遊歩道が整備されていて、散策好きにはたまらない。あれだけいた観光客だが、この遊歩道では全く見あたらない。あるのは白波を立てる冬の海と、沿岸に立ち並ぶ廃墟と化したホテルやテーマパーク…どんより曇り空と相まって、さながら昼の肝試しに似た雰囲気を味わえる。そして、歩くこと約1時間、外川の漁村にある定食屋「いたこ丸」で食事にありつく。何の下調べもなく、また他に選択肢もなく偶然辿り着いた店だが、とにかく魚がうまい。ヒラメのフライ定食だったか、この偶然の出会いには感動した。

外川の漁村から少し犬吠方面に戻る小高い丘の上に「地球の丸く見える丘展望館」がある。文字通り地球が丸く見えるもので、330°のオーシャンビューを一望でき、天気が良ければ遠く富士山も望めるらしいが、この写真では何も伝わらないことだけはよく分かった。ほんとはもう少し足を伸ばして屏風ヶ浦海岸にも行きたかったのだが、残念ながらタイムアップ。。なんとも無念だが、共に歩く人選を間違えなければそれなりに素敵なコースだと思う。

【再募集】こば紀行では現在、取材同行スタッフを募集しています。健脚なあなた、ご応募お待ちしております。本年もご愛読ありがとうございました!(こばやし)

2018年12月31日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : trust

相続放棄

先日、相続放棄について以下のような相談をいただきました。

「事業をしている父が先日亡くなったのですが、負債が多く相続放棄を検討しています。相続人は母と自分と弟の3名です。3名とも相続放棄すれば負債は返済しなくても良いでしょうか?」

相続放棄とは、相続人の立場から抜けることが出来る制度で、被相続人(亡くなった方)の死後3か月以内に家庭裁判所に対し申立てをする必要があります。

相続放棄が認められれば負債を返済しなくていい一方、注意をしなくてはいけない点があります。

(注意点)

・相続放棄ができるは相続開始を知った時から3か月以内

・遺産の名義変更、預貯金の引き出し等、相続財産の全部(又は)一部を処分したときは相続を承認したとされて相続放棄ができない

・相続放棄をすると遺産を一切相続できない

・相続放棄は撤回できない

・相続放棄をしたことにより、新たな相続人が発生する場合がある

 

特に注意すべき点は、『相続放棄をしたことにより、新たな相続人が発生する場合がある』です。

被相続人の配偶者と子が相続放棄すると、被相続人の直系尊属(親や祖父母など)が相続人になります。

直系尊属が先に無くなっている場合は、兄弟姉妹が相続人になります。もし兄弟姉妹のうち、被相続人より先に亡くなっている方がいる場合はその子ども(被相続人の甥姪)が相続人となります。

 

今回の相談者の場合、3名が相続放棄をすると、お父さんの兄妹が相続人となるケースでした。

3名が相続放棄をしても、相談者の伯父さん叔母さんが相続人になるので、そちらに返済の義務が発生することをお伝えすると、相談者の方は非常に驚かれ、「伯父さん叔母さんに迷惑をかけないように、事前に話をして、伯父さんや叔母さんにも相続放棄をしてもらうように話をした方がよいのではないか」ということになりました。

今回の相談者の場合、伯父さんや叔母さんまで相続放棄をすると、借金を返済すべき相続人が全員相続放棄をしたので相続人がいないという状態になります。

逆に言うと、3名(母・相談者・弟)だけが相続放棄をしても、別の人に相続人の義務がまわるだけ、ということになります。

 

相続放棄をする場合は、放棄した後の相続関係がどうなるか、一度専門家に相談されてから手続きを進められることお薦めします。

 

2018年12月27日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : trust

「本人の意思」の大切さ

私がこのブログで書いた記事を見返してみると、「意思」に関することが多いことに気づきます。

それくらい日々の業務の中で、「意思」と向き合うことが多いからだと思います。

特に、財産管理に関するご相談は、本人からというより、そのご家族からのものが多いのですが、その中で「本人の意思」よりも「ご家族の要望」が優先されていると感じることが時々、いや、結構多くあります。

「遺言があれば、本人が認知症でも、生前に、遺言に書かれている財産を処分できますか?」

「成年後見はなるべく活用したくないのですが、何かいい方法はありますか?」

「・・・・」

この他にも、ここには書けない相談がたくさんあります。

(上記の例もデフォルメしてあります)

このようなご相談をお受けする度に、「本人の意思」の大切をあらためて感じます。

本人の財産=ご家族の財産ではないこと、本人の財産を処分できるのは、「本人の(自由な)意思」に基づくこと(信託による事前の意思表示も含む)、それを補完する制度として成年後見制度があることを、ご相談をお受けする中で、しっかりと伝えていきたいと思います。(名波)

2018年12月26日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : trust

相続登記について(7)

次に、遺産分割協議書の「性質」についてです。

遺産分割協議によって、共同相続人はそのうちの一人に財産を多く分配すれば他の相続人の取得分は減るということになります。

従って、利害が対立する可能性がありますので、遺産分割協議書は当事者双方の意思の合致による契約に類似した財産処分を証明する文書と考えられます。

このため、契約による取引と同様にその内容の真実性を確認するべきものといえます。

(本木敦)

2018年12月21日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : trust

koba紀行#80 ソウル②

このコーナでは、浜松から日帰りで行けるプチ観光スポットをご紹介しています。

第80回目は、こば紀行海外編~ソウル②

今回のソウル紀行の焼肉に次ぐメインイベントがショッピングである。おそらく大概の日本人観光客もそうなのだろう。ソウル市街地に「南大門市場」と呼ばれる場所がある。日本でいう「アメ横」のような場所で、食材からファッション関連まで様々な品物が揃っている。大勢の人が行き交う中、市場の屋台が所狭しと並んでいて非常に活気がある。

そして、驚くべきはこの国の「アメ横」には高級ブランドショップ、いや、「韓国風」ブランドショップ(屋台)が焼き鳥屋と同列に並んでいて、有名っぽいブランドの品々が無造作に転がっている。それも大変お値打ちな価格でだ。私にはブランド品の価値はあまりよく分からないし、興味もないが、屋台のおっちゃん達は自分たちの売る商品に絶対の自信を持っているのか、日本語で熱心に勧めてくる。「高級」であれ「韓国風」であれ、どんなものにどれだけの価値を見出すかは人それぞれだ。個々の価値観やその国の文化性もある中で、少なくとも私は本物を見抜く目を持ち続けたいと強く意識した。

結局、「韓国風」ブランドを買いそびれた私は、デパートの地下でショッピングをすることとなる。日本のデパ地下と同じ様に、食品売り場にはおばちゃん達が立ち、客を呼び止め試食を勧める。例外なく私も呼び止められ、そして、そのおばちゃんに勧められるがままに、種々様々なキムチ、チャンジャを次から次へと口に放り込まれる。南大門のおっちゃん同様、ここのおばちゃん達も随分日本語が達者だ。試食したチャンジャがあまりに美味しく、また、せめてソウルまで来た証を残さなければという使命感もあり、おばちゃんにお土産用のチャンジャをオーダーする。

おばちゃんは「これもサービスしとくね!これもおまけよ!」と、チャンジャをはじめ、類似商品を次から次へと袋に放り込んでゆく。量り売りのため、バーコードをレジに持って行き会計精算する。グラムいくらなのかもよく分からないし、聞く暇もない程の爆裂トークの勢いに押されたまま、手にバーコードシールを貼られレジに行くように指示される。彼女たちに言われるがまま、レジで会計をすると…

68000ウォン(゚ロ゚) チャンジャで6800円とな。。

韓国でのショッピングで学んだこと、それは、本物を見抜く目を持つ以前に、断る勇気を持つこと。私のような気の優しい紳士は、海の向こうではただのカモとなる。そのカモは、1人ではとても食べきれない量のチャンジャを背負って帰国した。(ソウル編完)

2018年12月18日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : trust

非上場株式について

相続や遺言の相談を受け資産内容を確認している際、『株式(有価証券)はお持ちですか?』と聞くと、『株はやっていない』『持っていない』という方がいます。

本当に株式を保有していないのであれば全く問題ないのですが、中には実際には株式を持っているのに持っていない、と思っている方がいらっしゃいます。特に非上場株式を保有している方は、保有している自覚がない方が非常に多いです。

株式会社(有限会社を含みます)に出資した方は、その会社の株式を保有します。しかし、最近では株券を発行しない会社の方が一般的であるため、会社の株主名簿には株主として記載されているものの、株主の手元には『株式を保有していることを証明する書類』がありません。

そのため、株主の方が株式を保有していることを忘れてしまっていたり、株主の方が亡くなった際にご家族が故人が株式を保有していたことに気が付かない場合があります。

会社経営者にとって、自分の経営する会社の株式を相続人の誰が相続すのかは会社の今後を左右する非常に重要な事項であり、予め遺言書を作成するなど慎重に対策をしておく必要があります。

また、税務的な観点からも注意が必要です。相続税を計算する際、非上場株式も評価額を計算し、預貯金や不動産などの他の財産の価格と合わせた金額を算出する必要があります。

『我が家は財産があまりないので、相続税はかからない』と思っていたものの、後々保有していたことが分かった非上場株式の評価額が高く、相続税を納付しなければならない、ということもあり得ます。

「ご親族が会社を経営していた」「昔友達の会社に出資したことがある」など心当たりがある方は、一度、非上場株式をお持ちでないか、確認されることをお勧めします。

2018年12月17日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : trust