財産についての話し合い

遺言を作成する場合や民事信託をする場合など、財産について考えたり、話し合いをする場合、他の関係者とどのように話をするのかは、とても重要です。

 

そもそも、相続は相続人全員で話し合いの上、合意することが必要ですが、『遺言』や『民事信託』は、他の関係者に話をしなくても、当事者間のみで手続きをすることが可能です。

しかし、他の関係者に全く話をしていない場合で、後日になって遺言の内容や民事信託の事実が他の関係者に伝わると、不信感を抱かれ、トラブルの原因になることが多いです。

 

例えば、『長男に相続させる』や『長男を受託者として財産を管理させる』旨を遺言書や信託契約書に記載した場合、他の関係者(二男や長女などの他の家族)が、

『長男が上手く丸め込んで自分に有利な遺言書を書かせた』

『司法書士と結託し、勝手に長男が財産を管理するように手を回した』

と感じることが多いようで、これがこじれると法廷闘争になったり、親族関係に深刻な傷が残ることも少なくありません。

 

事前にご本人から『こういう趣旨で長男に残そうと思う』『こういう理由で長男に任せたいと思っているので、承知してほしい』と一言あれば、当事者の気持ちや事情が分かるので対応が違ってくるのですが、ある日突然知らされると、態度が硬化することが多いです。

 

財産の問題は、当事者や関係者の感情に配慮しながら進めることが大切です。

2018年4月23日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : trust

報酬(2)

司法書士報酬を考えるに先立ち「司法書士の業務」についての整理を試みることにします。

司法書士業務そのものは多岐に亘りますが、大別すると「個別受任事案」と「包括受任事案」のふたつに整理できるのではないかと考えます。
登記申請や破産申立書の作成などは「個別受任事案」に該当すると考えられる一方、いわゆる簡裁代理業務(※)や成年後見人への就任などは「包括受任事案」と考えられるでしょう。

「個別受任事案」における業務の中心は【書類作成】であると考えられます。もちろん、適正な書類を作成するためには、事情聴取・調査・意思確認等の作業が不可欠ですが、これらはいずれも最終的に【書類作成】に収斂されると考えられるでしょう。つまり〔いかに早く正確に書類を作成するか〕が、依頼者のニーズであると考えられるわけです。
したがって、「個別受任事案」における司法書士報酬のほとんどは【書類作成】と対価関係にあるといえます(「ほとんど」としたのは、日当や交通費、証明書申請手続き等に対する事務報酬も含まれるからです)。

一方、「包括受任事案」においては〔依頼者にどれだけの利益をもたらすことができるのか?〕が重視されるといってよいでしょう。裁判や交渉の代理であれば「いくら回収したか?」、成年後見業務であれば「本人の財産管理,身上監護にどれだけ寄与したか?」が、報酬の多寡に影響を及ぼすことになります。
つまり「包括受任事案」では、司法書士報酬は【依頼者が得た利益】と対価関係にあると考えられます。
裁判や交渉の代理の場合は、着手金のほかに「回収額の〇%相当額」の成功報酬をいただくのは、利益が多いほど報酬が高くなることの現れですね。成年後見人の報酬は裁判所が決定しますが、この場合も管理すべき財産の多寡や事案の難易度が考慮されることになるのです。

このように、司法書士業務が「個別受任事案」と「包括受任事案」とに大別できるとすると、【民事信託の支援】はいずれの業務に属するのか? また、私たちがいただく報酬は何に対する対価なのか? が問題となってきます。   (中里)

(※)司法書士は、140万円以内の民事トラブルについて依頼者の代理人として交渉や裁判をすることができます。裁判の代理は「簡易裁判所」に属する事件に限定されていることから、私たちの業界ではこのような業務を「簡裁代理業務」と呼ぶことが多いのです。

2018年4月20日 | カテゴリー : 報酬 | 投稿者 : trust

名古屋で民事信託のセミナーに参加してきました。

先日、知り合いの司法書士が名古屋で民事信託のセミナーを開催するということだったので、参加してきました。

最近の民事信託の動向や具体的な活用事例の紹介がありました。

講師が憂慮するのは、にわか信託専門家の大量輩出の現状です。

信託法や信託税制の知識が不足しているのに、巷に出回っているひな形をそのまま当てはめて終わりという、にわか信託専門家が大量に輩出されているというのです。

「叶(かなう)」も「にわか」にならないよう、最低でも月1回集まり勉強会を開催し、日々メール等で情報交換を行っています。

「民事信託」という言葉が浸透してきているだけに、益々、日々の研鑽が重要になりますね。(ななみ)

2018年4月19日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : trust

携帯電話の変更で苦労しました

携帯電話の変更で苦労しました。

旧携帯のバックアップをそのまま新携帯に移行できると思っていたのですが,ここで思わぬ不具合が。

今は,携帯電話の間でデータを転送できるアプリがあり,なんとかなりました。有料でしたが。。

しかし,携帯電話のデータ転送ってアプリを使えば簡単にできてしまうんだと,ちょっと怖くなりました。

文責:本木敦

2018年4月18日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : trust

最近の相談

4月14日(土)、静岡県司法書士会浜松支部で定時総会が開かれました。

定時総会に出席するために事務所を出ようとしたところ、知り合いから電話がありました。要約すると、知り合いの友人がすでに余命を告げられた状態であるが、その友人が自分の財産の承継について心配しているとのことでした。

結論から申し上げると、公正証書遺言の作成を提案し、地元の司法書士に依頼することを勧めました(遠方の方のため)。

しかし、最も適しているのは「民事信託」であったと考えられる事案でした。その友人の方がお元気であれば、民事信託の説明をしたのですが、民事信託は短時間で説明できるものではないため、今回は提案を見送った次第です。

 

少し、残念に思った相談内容でした。(小出)

2018年4月16日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : trust

こば紀行#57 大井川鉄道①~アプトいちしろ駅

このコーナーでは、浜松から日帰りで行けるプチ観光スポットをご紹介しています。

第57回目は大井川鐵道編第1弾、金谷~アプトいちしろ

こば紀行#42にて秘境駅を紹介した。その際、あらたま先生が「大井川鉄道にも秘境駅がある」とコメントを付けていたので、仕方ないから今回特集することとした。まあ、あらたま先生に言われるまでもなくそんなことは知っていたし、以前から「自分探しの旅」で度々この列車には乗っていたのだが、終点まで辿り着いたことがなかったのでこの機会に改めて乗り尽くすこととした。たぶん、このシリーズは長くなる。

井川鉄道は金谷~千頭までの大井川本線と、千頭~井川までの井川線があり、目的に応じて各種フリー切符がある。秘境駅まで日帰り往復することも可能だが、この沿線は想像以上に見所が多いし奥が深いので、有効期間2日の周遊きっぷ(4,400円)がオススメだ。SLが走るのは大井川本線だが、正直乗ってしまえばSLか普通かも分からないので混雑を避けるなら普通列車がいいだろう。普通とはいえ、古い私鉄の車両が使用されており十分レトロな感覚を味わえる。乗車率は金谷~菊川間を走る東海道本線より高く、立ち客もいる。そして、そのほとんどは観光客だ。

鉄道はその名のとおり大井川に沿って山間を縫うように北上する。折しも桜が満開の時期で、桜の名所である「家山駅」や「駿河徳山駅」は観光客と撮り鉄達でいっぱいだ。「笹間渡駅」近くには道の駅併設の川根温泉がある。風呂に入りながらSLを見られるということで大人気のスポットだ。そして、本線終点の「千頭駅」は寸又峡へと続く地で、大井川鉄道の拠点駅として多くの観光客で賑わっている。しかし、今回のこば紀行はここから先の井川線が本題なのだが、ここまでの道のりで上記以外にとんでもない名所があると後に知る。それはいずれまた…

千頭から先、列車は←のようなかわいいやつに変わる。景色はいよいよ山奥感が深まり、カーブが多いせいか走行中の車輪が軋む音がすさまじい。6駅先の「アプトいちしろ駅」でアプト式機関車が連結される。この先の急勾配を上るためだ。(つづく)

 

 

 

 

2018年4月12日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : trust

困難な相続

本日、相続でお困りになっている方のご相談をお伺いしました。

 

依頼者Aさんは、最近お母様を亡くされました。

お母様は不動産や預貯金をお持ちだったので、相続手続きをしたいそうなのですが、

相続人の一人であるBさん(Aさんの兄弟)と連絡がとれず、お話し合いができずに困っている、とのことでした。

 

Bさんは、遡ること数十年前、様々な事情により家出をしてしまい、ずっと連絡が取れない状態が続いているそうで、Bさんが今どこで何をしているのか、よく分からないそうです。

 

ただ、近所の方やBさんをご存知の方からの目撃情報から、どうやらBさんが市内に住んでいるらしいことは分かっているそうですが、Aさんからの電話に全く出ず、住んでいるところも分からないので会いに行くこともできない、という状態だそうです。

 

相続人が行方不明の場合、裁判所に申し立てをして「不在者財産管理人」という管理人を選任し、相続手続きを進めることができます。

しかし、Bさんの場合、BさんがAさんを拒絶しているだけで、『行方不明』とは言えない状態のため、この制度では対応できず、何とか話し合いをつけるしかありません。

 

話し合いが難しい場合、調停や裁判などの手続きにより解決する方法があるのですが、その場合、時間も費用もかかります。

 

結局、まずは色々な手段でBさんに接触を図って、何とか話し合いに応じてもらうようにしていくことから始めることになりました。

 

相続の相談で、『財産の分配で揉めている』『相続人が沢山いて大変』『知らない相続人が出てきた』などは比較的よく聞く話ですが、近親者と話し合いすらできない、というのは中々ないので驚きました。

つくづく、相続という事案が、家族関係や当事者の価値観や歩んできた人生が大きく係るものなのだな、と実感しました。

2018年4月11日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : trust

報酬(1)

今回から新シリーズとして「報酬」について書き綴ってみようと思います。報酬というと、モデル契約書でも取り上げた受託者や信託監督人の報酬が考えられますが、このシリーズで検討してみたい報酬はこれらではなく、プランニングや契約書作成のための費用、不動産登記申請のための費用など、司法書士が民事信託に関わる際に発生する報酬を指します。

司法書士がこのような報酬を得ることができるのは、民事信託に関するこれらの作業が「司法書士の業務」に該当するからです。
そこで、「報酬」の問題を考えるにあたっては、「司法書士の業務」のご説明が不可欠となります。

しかし、一口に「司法書士の業務」といっても、なかなか複雑な問題が内在しておりますので、読者の皆さんにはわかりにくい内容も多いかもしれません。できる限り噛み砕いてご説明しようと思いますので、しばらくの間お付き合い下さい。  (中里)

2018年4月10日 | カテゴリー : 報酬 | 投稿者 : trust

原点を思いださせてくれる動画

フィンランドで統合失調症の治療のために開発された治療法、

「対話」による治療、オープンダイアローグ。

対話の重要性と有効性を示してくれています。

では、何のために対話をするのか?

かけがえのない、一人ひとりの人生を大切にするため。

法律に携わる者にとっても、原点のお話です。

是非、ご覧ください。(ななみ)

2018年4月10日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : trust

とんでもない角度

物事は両面からみる。それでは平凡な答えが出るにすぎず、智恵は湧いてこない。いまひとつ、とんでもない角度--つまり、天の一角から見おろすか、虚空の一点を設定してそこから見おろすか、どちらかしてみれば問題はずいぶんかわってくる。-『夏草の賦』(司馬遼太郎)-

 

文責:本木敦

2018年4月6日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : trust